
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
3次関数の問題は、極値の位置 \(\alpha,\ \beta\) を求めずに、解と係数の関係だけで進めます。 \(f'(x)=0\) の2解 \(\alpha,\ \beta\) の和と積から、\(\alpha^2+\beta^2\)、\(\alpha^3+\beta^3\)、そして極値の和まで \(a\) の式にできる。 後半は、点対称と平行移動で面積を一気に計算します。
この回で扱う問題
\(a\) を定数とする。\(x\) の関数 \(f(x)=x^3-2ax^2+3ax+1\) は極大値と極小値をもつ。
(1) \(a\) の値の範囲を求めよ。また \(f'(x)=0\) の2つの解を \(\alpha,\ \beta\) とするとき、\(\alpha+\beta,\ \alpha\beta,\ \alpha^2+\beta^2,\ \alpha^3+\beta^3\) を \(a\) で表せ。
(2) 極大値と極小値の和が \(6\) であるとき、整数 \(a\) の値を求めよ。またそのときのグラフの概形を選べ。
(3) (2) の \(a\) について、直線 \(y=mx-1\) と \(y=f(x)\) のグラフで囲まれた2つの図形の面積が等しくなる \(m\) を求めよ。
(4) (2) の \(a\) について、\(y=f(x)\) のグラフと、これを \(x\) 軸方向に \(1\) だけ平行移動したグラフで囲まれた図形の面積 \(S\) を求めよ。
方針
- 極値をもつ ⇔ \(f'(x)=0\) が異なる2つの実数解をもつ(判別式 \(\gt 0\))。
- 2解 \(\alpha,\ \beta\) は求めない。解と係数の関係で和・積を \(a\) で表し、対称式を計算する。
- 極値の和 \(f(\alpha)+f(\beta)\) も対称式。\(a\) の方程式にして解く。
- 3次関数のグラフは、極大点と極小点の中点に関して点対称。
(1) 極値をもつ条件(ア・イ・ウ)
\(f'(x)=3x^2-4ax+3a\)。これが異なる2つの実数解をもつので、判別式を \(D\) として
\[\frac{D}{4}=(2a)^2-3\cdot 3a=4a^2-9a\gt 0\]
\[a(4a-9)\gt 0\]
\[a\lt 0,\quad \frac{9}{4}\lt a\qquad(\text{ア}=0,\ \text{イウ}=9/4)\]
(1) 解と係数の関係(エ・オ・カ〜サシ)
\(3x^2-4ax+3a=0\) の2解が \(\alpha,\ \beta\) なので
\[\alpha+\beta=\frac{4}{3}a,\qquad \alpha\beta=a\qquad(\text{エ}=⑤,\ \text{オ}=④)\]
対称式は、和と積で書き直せます。
\[\alpha^2+\beta^2=(\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta=\frac{16}{9}a^2-2a\]
\[\alpha^3+\beta^3=(\alpha+\beta)^3-3\alpha\beta(\alpha+\beta)\]
\[=\frac{64}{27}a^3-3a\cdot\frac{4}{3}a=\frac{64}{27}a^3-4a^2\]
(カキ/ク=16/9、ケコ/サシ=64/27)
(2) 極値の和が 6(ス・セソ・タ)
\(f(\alpha)+f(\beta)\) を、\(f(x)=x^3-2ax^2+3ax+1\) から作ります。
\[f(\alpha)+f(\beta)=(\alpha^3+\beta^3)-2a(\alpha^2+\beta^2)+3a(\alpha+\beta)+2\]
和と積の結果を代入して
\[=\left(\frac{64}{27}a^3-4a^2\right)-2a\left(\frac{16}{9}a^2-2a\right)+3a\cdot\frac{4}{3}a+2\]
\[=\frac{64}{27}a^3-\frac{96}{27}a^3+(-4+4+4)a^2+2=-\frac{32}{27}a^3+4a^2+2\]
これが \(6\) なので \(-\dfrac{32}{27}a^3+4a^2-4=0\)。両辺に \(-\dfrac{27}{4}\) を掛けると
\[8a^3-27a^2+27=0\qquad(\text{ス}=8,\ \text{セソ}=27)\]
整数解は、定数項 \(27\) の約数のなかにあります。\(a=3\) を入れると \(216-243+27=0\)。成り立ちます。
\(a=3\) は \(\dfrac{9}{4}\lt a\) を満たすので、条件①もよい。
\[a=3\qquad(\text{タ}=3)\]
(2) グラフの概形(チ)
\(a=3\) のとき \(f(x)=x^3-6x^2+9x+1\)。
\[f'(x)=3x^2-12x+9=3(x-1)(x-3)\]
\(x=1\) で極大値 \(f(1)=5\)、\(x=3\) で極小値 \(f(3)=1\)。\(y\) 切片は \(f(0)=1\)。極小値が \(1\gt 0\) なので、極小点は \(x\) 軸の上にあり、極大点は \(y\) 軸の右(\(x=1\))です。これを満たすのは ① です(チ=1)。
(3) 点対称と面積(ツ)
極大点 \((1,\ 5)\) と極小点 \((3,\ 1)\) の中点は \(M(2,\ 3)\)。\(f(2)=8-24+18+1=3\) で、確かに曲線上にあります。グラフは \(M\) に関して点対称です。
点 \(M\) を通る直線は、\(M\) を中心に180°回すと自分自身に重なります。曲線も同じなので、直線と曲線で囲まれた2つの図形は、\(M\) で入れかわり、面積が等しい。
直線 \(y=mx-1\) が \(M(2,\ 3)\) を通ればよいので
\[3=2m-1\ \Longrightarrow\ m=2\qquad(\text{ツ}=2)\]
(4) 平行移動した曲線ではさまれる面積(テト・ナニ・ヌネ)
\(y=f(x)\) を \(x\) 軸方向に \(1\) 平行移動すると \(y=f(x-1)\)。
\[f(x-1)=(x-1)^3-6(x-1)^2+9(x-1)+1=x^3-9x^2+24x-15\]
2つの曲線の差を作ります。
\[f(x)-f(x-1)=3x^2-15x+16\]
交点の \(x\) 座標は \(3x^2-15x+16=0\) の2解で、\(p\lt q\) とすると
\[p=\frac{15-\sqrt{33}}{6},\quad q=\frac{15+\sqrt{33}}{6},\quad q-p=\frac{\sqrt{33}}{3}\]
\(p\lt x\lt q\) では \(3x^2-15x+16\lt 0\)、つまり \(f(x)\lt f(x-1)\)。上が \(f(x-1)\)、下が \(f(x)\) です。差は \(-3(x-p)(x-q)\) と書けるので
\[S=\int_p^q\{f(x-1)-f(x)\}\,dx=-3\int_p^q(x-p)(x-q)\,dx\]
問題の公式 \(\displaystyle\int_p^q(x-p)(x-q)\,dx=-\frac{1}{6}(q-p)^3\) を使って
\[S=-3\cdot\left\{-\frac{1}{6}(q-p)^3\right\}=\frac{1}{2}(q-p)^3=\frac{1}{2}\left(\frac{\sqrt{33}}{3}\right)^3\]
\[=\frac{1}{2}\cdot\frac{33\sqrt{33}}{27}=\frac{11\sqrt{33}}{18}\]
\[S=\frac{11\sqrt{33}}{18}\qquad(\text{テト}=11,\ \text{ナニ}=33,\ \text{ヌネ}=18)\]
つまずきポイント
- 極値の位置を直接求めようとする。 \(\alpha,\ \beta\) は \(a\) を含む無理数になります。和と積だけで進めば、計算は有理式で済みます。
- 判別式の \(D\) と \(\dfrac{D}{4}\) を混ぜる。 \(3x^2-4ax+3a\) の \(x\) の係数は偶数なので \(\dfrac{D}{4}=(2a)^2-3\cdot 3a\)。
- \(\alpha^3+\beta^3\) を展開しすぎる。 \((\alpha+\beta)^3-3\alpha\beta(\alpha+\beta)\) の形を使う。
- 整数解を探すとき、条件①を確かめない。 \(a=3\) は \(\dfrac{9}{4}\lt a\) を満たすので適する。
- \(f(x-1)\) の展開ミス。 \((x-1)^3,\ (x-1)^2\) を丁寧に展開する。差を取る前に、\(x^3-9x^2+24x-15\) と \(x=2\) などで検算します。
- 公式の \(q-p\) の符号。 \(p\lt q\) と決めたので \(q-p\gt 0\)。\((q-p)^3\) も正で、\(S\) は正の値になります。
要点まとめ
- 極値をもつ ⇔ \(f'(x)=0\) の判別式 \(\gt 0\)。\(\alpha,\ \beta\) は求めず、和と積で対称式を計算する。
- 極値の和 \(f(\alpha)+f(\beta)\) も対称式。\(8a^3-27a^2+27=0\) から \(a=3\)。
- 3次関数のグラフは、極大点と極小点の中点 \(M\) に関して点対称。\(M\) を通る直線で2つの面積が等しくなる。
- 平行移動したグラフとの面積は、差 \(f(x)-f(x-1)\) を作って \(\dfrac{1}{6}\) 公式。\(S=\dfrac{11\sqrt{33}}{18}\)。