共テ数学ⅡBC 第12回【第5問】当たりの回数は正規分布で近似し、信頼区間の幅から人数を決める ― 統計的な推測

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

くじを引く回数が多いとき、当たりの回数 \(X\) は二項分布から正規分布で近似できます。 「めったに起こらない」は上側確率 0.05、信頼区間は \(p_0\pm1.96\sqrt{\dfrac{p_0(1-p_0)}{n}}\)。幅は \(\sqrt n\) に反比例するので、幅の条件から必要な人数が決まります。

この回で扱う問題

(1) 赤玉 10 個、白玉 40 個の袋から1個取り出して戻す操作を、来場者1名ごとに1回行う。赤玉が出たら「当たり」。来場者 400 名で赤玉が出る回数を \(X\) とする。

\(X\) は二項分布 \(B\left(\fbox{アイウ},\ \dfrac{\fbox{エ}}{\fbox{オ}}\right)\) に従うから、\(E(X)=\) カキ、\(V(X)=\) クケ。\(X\) は近似的に正規分布に従い、赤玉の出る回数が 60 回以上 80 回以下となる確率は \(0.\)コサシス。

「赤玉が出る回数が セ 回以上である確率がおよそ 0.05 になり、めったに起こらないから、うちわは最大 セ 枚準備すればよい」。セ:⓪ 86 ① 90 ② 93 ③ 98 ④ 102

(2)(i) 大きさ \(n\) の標本の標本比率 \(p_0\) を用いて、母比率 \(p\) を信頼度 95% で推定した信頼区間 \(A\le p\le B\) の \(A\) は ソ。
⓪ \(p_0-0.95\sqrt{\dfrac{p_0(1-p_0)}{n}}\) ① \(p_0-0.95\cdot\dfrac{p_0(1-p_0)}{\sqrt n}\) ② \(p_0-1.96\sqrt{\dfrac{p_0(1-p_0)}{n}}\)
③ \(p_0-1.96\cdot\dfrac{p_0(1-p_0)}{\sqrt n}\) ④ \(p_0-2.58\sqrt{\dfrac{p_0(1-p_0)}{n}}\) ⑤ \(p_0-2.58\cdot\dfrac{p_0(1-p_0)}{\sqrt n}\)

(ii) \(p_0=0.64\) として、信頼度 95% の信頼区間の幅 \(B-A\) が 0.04 以内となる標本の大きさ \(n\) は タ 人以上。タ(あてはまる最小の数):⓪ 48 ① 520 ② 1595 ③ 2213 ④ 3335

方針 ― 標準化して表を読む

  • 二項分布 \(B(n,\ p)\) は 平均 \(np\)、分散 \(np(1-p)\)。
  • \(n\) が大きいので \(Z=\dfrac{X-np}{\sqrt{np(1-p)}}\) が標準正規分布に近い。正規分布表で確率を読む。
  • 信頼区間の幅は \(2\times1.96\sqrt{\dfrac{p_0(1-p_0)}{n}}\)。

(1) 二項分布と正規近似(アイウ〜コサシス)

赤玉が出る確率は \(\dfrac{10}{50}=\dfrac15\)。400 回くり返すので \(X\) は \(B\left(400,\ \dfrac15\right)\) に従います。

\[E(X)=400\cdot\frac15=80\]

\[V(X)=400\cdot\frac15\cdot\frac45=64\]

標準偏差は \(\sqrt{64}=8\)。\(Z=\dfrac{X-80}{8}\) とすると、\(X=60\) は \(Z=-2.5\)、\(X=80\) は \(Z=0\) です。

\[P(60\le X\le 80)=P(-2.5\le Z\le 0)\]

\[=P(0\le Z\le 2.5)=0.4938\]

\(B\left(400,\ \dfrac15\right)\)(アイウ=400、エ=1、オ=5)、\(E(X)=80\)(カキ=80)、\(V(X)=64\)(クケ=64)、\(0.4938\)(コサシス=4938)

(1) めったに起こらない回数(セ)

上側の確率が 0.05 になる \(z\) は、表で \(P(0\le Z\le z)=0.45\) となるところで、\(z\) は 1.64 と 1.65 の間(約 1.645)です。

\[X=80+8\times1.645\fallingdotseq 93.2\]

赤玉が約 93 回以上出る確率がおよそ 0.05 なので、うちわは最大 93 枚準備すればよい、という判断です。

608093.2z=−2.5z=0z=1.6450.4938上側 0.05X は近似的に 正規分布 N(80, 8²)。Z = (X − 80)/8
X は平均 80、標準偏差 8 の正規分布で近似。60〜80 は 0.4938、93.2 より上は 0.05

93(セ=②)

(2)(i) 母比率の信頼区間(ソ)

標本比率 \(p_0\) の標準偏差は \(\sqrt{\dfrac{p_0(1-p_0)}{n}}\)。信頼度 95% の係数は 1.96 なので

\[p_0-1.96\sqrt{\frac{p_0(1-p_0)}{n}}\le p\]

\[\le p_0+1.96\sqrt{\frac{p_0(1-p_0)}{n}}\]

0.95 は信頼度そのもの、2.58 は 99% の係数です。ルートが分母の \(n\) だけにかかる選択肢も誤りです。

\(A=p_0-1.96\sqrt{\dfrac{p_0(1-p_0)}{n}}\)(ソ=②)

(2)(ii) 必要な人数(タ)

幅は \(B-A=2\times1.96\sqrt{\dfrac{p_0(1-p_0)}{n}}\)。\(p_0=0.64\) なら \(p_0(1-p_0)=0.64\times0.36\) で、\(\sqrt{0.64\times0.36}=0.8\times0.6=0.48\)。

\[3.92\times\frac{0.48}{\sqrt n}\le 0.04\]

\[\sqrt n\ge 98\times0.48=47.04\]

\[n\ge 47.04^2=2212.76\cdots\]

\(n\) は整数なので、2213 人以上です。

2213 人以上(タ=③)

つまずきポイント

  1. 分散を \(np\) とする。 二項分布の分散は \(np(1-p)\)。\(400\cdot\dfrac15\cdot\dfrac45=64\)。
  2. 上側 0.05 で 1.96 を使う。 1.96 は両側で 0.05(片側 0.025)。片側 0.05 は約 1.645。
  3. 幅を片側の長さとする。 幅 \(B-A\) は \(1.96\sqrt{\cdots}\) の2倍。

要点まとめ

  1. \(X\sim B\left(400,\ \dfrac15\right)\):平均 80、分散 64、標準偏差 8。\(P(60\le X\le 80)=0.4938\)。
  2. 上側 0.05 は \(z\fallingdotseq1.645\)、\(80+8\times1.645\fallingdotseq93\)(セ=②)。
  3. 信頼区間 \(p_0\pm1.96\sqrt{\dfrac{p_0(1-p_0)}{n}}\)(ソ=②)。幅 0.04 以内は \(n\ge 2213\)(タ=③)。
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