
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
となり合う項の差を並べると、見覚えのある数列が出てくる。 それが階差数列です。上の段 \(\{a_n\}\) が読めなくても、下の段 \(\{b_n\}\) が等差数列や等比数列なら、 下の段を足し上げるだけで \(a_n\) が求まります。最後に \(n=1\) を確かめるところまでが1セットです。
この回で扱う問題
次の数列 \(\{a_n\}\) の一般項 \(a_n\) を求めよ。
(1) \(1,\ 2,\ 5,\ 10,\ 17,\ 26,\ 37,\ \cdots\)
(2) \(3,\ 4,\ 7,\ 16,\ 43,\ 124,\ 367,\ \cdots\)
方針 ― まず「差」を書き出す
授業の導入で使った数列で、考え方を確認します。
\[4,\ 7,\ 12,\ 19,\ 28,\ 39,\ 52,\ \cdots\]
このままでは規則が見えません。となり合う項の差をとると
\[3,\ 5,\ 7,\ 9,\ 11,\ 13,\ \cdots\]
初項 \(3\)、公差 \(2\) の等差数列です。このように、\(\{a_n\}\) のとなり合う項の差 \(b_n=a_{n+1}-a_n\) を並べた数列 \(\{b_n\}\) を、\(\{a_n\}\) の階差数列といいます。
\(a_1\) から出発して \(b_1,\ b_2,\ \cdots\) を順に足していくと、\(a_2,\ a_3,\ \cdots\) に着きます。 \(a_n\) に着くまでに足すのは \(b_1\) から \(b_{n-1}\) までの \(n-1\) 個です。
\(n\ge 2\) のとき
\[a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\]
※ \(n=1\) のとき、求めた式が \(a_1\) と一致するかを必ず確かめる。
シグマの上端は \(n-1\)。\(n\) まで足すと \(a_{n+1}\) になってしまいます。 そして \(n-1\) 個の和なので、この式は \(n\ge 2\) でしか使えません。\(n=1\) の確認が要るのはそのためです。
導入例で確かめる
\(a_1=4\)、\(b_n=3+(n-1)\cdot 2=2n+1\)。\(n\ge 2\) のとき
\[a_n=4+\sum_{k=1}^{n-1}(2k+1)=4+2\cdot\frac{1}{2}(n-1)n+(n-1)=n^{2}+3\]
使った公式は \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k=\frac{1}{2}n(n+1)\) と \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}1=n\)。 ここでは上端が \(n-1\) なので、\(n\) を \(n-1\) に置きかえて使っています。
\(n=1\) を代入すると \(1+3=4=a_1\)。よって \(n=1\) のときも成り立ち、\(a_n=n^{2}+3\) です。
(1) 階差数列が等差数列
\[1,\ 2,\ 5,\ 10,\ 17,\ 26,\ 37,\ \cdots\]
差をとると \(1,\ 3,\ 5,\ 7,\ 9,\ 11,\ \cdots\)。初項 \(1\)、公差 \(2\) の等差数列なので \(b_n=2n-1\)。 \(n\ge 2\) のとき
\[a_n=1+\sum_{k=1}^{n-1}(2k-1)=1+2\cdot\frac{1}{2}(n-1)n-(n-1)\]
\[=1+n^{2}-n-n+1=n^{2}-2n+2\]
\(n=1\) のとき \(1-2+2=1=a_1\) なので、\(n=1\) のときも成り立つ。
\[a_n=n^{2}-2n+2\]
(2) 階差数列が等比数列
\[3,\ 4,\ 7,\ 16,\ 43,\ 124,\ 367,\ \cdots\]
差をとると \(1,\ 3,\ 9,\ 27,\ 81,\ 243,\ \cdots\)。今度は初項 \(1\)、公比 \(3\) の等比数列です。 \(b_n=3^{n-1}\)。
\(n\ge 2\) のとき、等比数列の和の公式 \(\displaystyle S_n=\frac{a(r^{n}-1)}{r-1}\) を、項数 \(n-1\) で使います。
\[a_n=3+\sum_{k=1}^{n-1}3^{k-1}=3+\frac{1\cdot(3^{n-1}-1)}{3-1}=3+\frac{1}{2}\left(3^{n-1}-1\right)=\frac{1}{2}\left(3^{n-1}+5\right)\]
\(n=1\) のとき \(\frac{1}{2}(1+5)=3=a_1\) なので、\(n=1\) のときも成り立つ。
\[a_n=\frac{1}{2}\left(3^{n-1}+5\right)\]
検算:\(n=4\) で \(\frac{1}{2}(27+5)=16\)。数列の第4項と合っています。
つまずきポイント
- シグマの上端を \(n\) にしてしまう。 \(a_n\) までに足す差は \(n-1\) 個。上端は \(n-1\) です。
- 公式に \(n\) のまま代入する。 \(\sum_{k=1}^{n-1}k=\frac{1}{2}(n-1)n\)。\(n\) を \(n-1\) に置きかえるのを忘れない。
- \(\sum_{k=1}^{n-1}1\) を \(n\) と書く。 1 を \(n-1\) 個足すので \(n-1\) です。
- 等比数列の和で項数をまちがえる。 \(\sum_{k=1}^{n-1}3^{k-1}\) は項数 \(n-1\)。だから分子は \(3^{n-1}-1\) です。
- \(n=1\) の確認を書かない。 公式は \(n\ge 2\) でしか使っていません。\(n=1\) で一致することを書いて、はじめて「すべての \(n\)」の答えになります。
要点まとめ
- 規則が見えない数列は、まずとなり合う項の差を書き出す。
- \(n\ge 2\) のとき \(a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\)。上端は \(n-1\)。
- 階差が等差なら \(\sum k\) と \(\sum 1\)、等比なら等比数列の和の公式で足す。
- 最後に\(n=1\) で \(a_1\) と一致するかを確かめて書く。
