
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
\((2k-1)\cdot 3^{k-1}\) のように、等差数列と等比数列の積の和には、そのまま使える公式がありません。 手は1つ。\(S_n-rS_n\) を考える。公比 \(r\) 倍すると項が1つ右にずれるので、 縦にそろえて引けば、真ん中が等比数列の和に変わります。
この回で扱う問題
次の和 \(S_n\) を求めよ。
(1) \(S_n=1\cdot 1+3\cdot 3+5\cdot 3^{2}+\cdots+(2n-1)\cdot 3^{n-1}\)
(2) \(S_n=1\cdot 1+2\cdot 2+3\cdot 2^{2}+\cdots+n\cdot 2^{n-1}\)
方針 ― 公式がないなら、消せる形を作る
(1) は \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}(2k-1)\cdot 3^{k-1}\)。前の部分 \(1,\ 3,\ 5,\ \cdots\) は公差 \(d=2\) の等差、 後ろの部分 \(1,\ 3,\ 3^{2},\ \cdots\) は公比 \(r=3\) の等比。等差×等比の型です。
うまく消せないか? 知っている公式(等比数列の和)に持ち込むために、\(rS_n\) を利用します。
(1) \(S_n-3S_n\) を計算する
\(S_n\) と、それを3倍した \(3S_n\) を、\(3\) の指数がそろうように1つずらして書きます。
\[\begin{aligned}
S_n&=1\cdot 1+3\cdot 3+5\cdot 3^{2}+\cdots+(2n-1)\cdot 3^{n-1}\\
3S_n&=\phantom{1\cdot 1+{}}1\cdot 3+3\cdot 3^{2}+\cdots+(2n-3)\cdot 3^{n-1}+(2n-1)\cdot 3^{n}
\end{aligned}\]
上から下を引くと、同じ指数の項の係数の差は、いつも公差 \(2\)。
\[-2S_n=1+2\cdot 3+2\cdot 3^{2}+\cdots+2\cdot 3^{n-1}-(2n-1)\cdot 3^{n}\]
真ん中の \(2\cdot 3+2\cdot 3^{2}+\cdots+2\cdot 3^{n-1}\) は、初項 \(6\)、公比 \(3\)、項数 \(n-1\) の等比数列の和です。
\[-2S_n=1+\frac{6(3^{n-1}-1)}{3-1}-(2n-1)\cdot 3^{n}\]
\[=1+3(3^{n-1}-1)-(2n-1)\cdot 3^{n}=1+3^{n}-3-2n\cdot 3^{n}+3^{n}\]
\[=(2-2n)\cdot 3^{n}-2=2(1-n)\cdot 3^{n}-2\]
両辺を \(-2\) で割って
\[S_n=\frac{2(1-n)\cdot 3^{n}-2}{-2}=(n-1)\cdot 3^{n}+1\]
検算:\(n=2\) なら \(S_2=1+9=10\)。式は \(1\cdot 9+1=10\)。合っています。
最後の項 \(-(2n-1)\cdot 3^{n}\) を忘れない。 \(3S_n\) は右に1つはみ出すので、引いたあとに1つだけ余ります。 そして真ん中の等比数列の項数は \(n-1\)。ここを \(n\) にすると答えがずれます。
(2) 同じ流れで \(S_n-2S_n\)
今度は公比 \(2\)、公差 \(1\)。\(2S_n\) を1つずらして書きます。
\[\begin{aligned} S_n&=1\cdot 1+2\cdot 2+3\cdot 2^{2}+\cdots+n\cdot 2^{n-1}\\ 2S_n&=\phantom{1\cdot 1+{}}1\cdot 2+2\cdot 2^{2}+\cdots+(n-1)\cdot 2^{n-1}+n\cdot 2^{n} \end{aligned}\]
引くと、係数の差はすべて \(1\)。
\[-S_n=1+2+2^{2}+\cdots+2^{n-1}-n\cdot 2^{n}\]
今回は \(1\) から始まる初項 \(1\)、公比 \(2\)、項数 \(n\) の等比数列になります。
\[-S_n=\frac{1\cdot(2^{n}-1)}{2-1}-n\cdot 2^{n}=2^{n}-1-n\cdot 2^{n}=(1-n)\cdot 2^{n}-1\]
\[S_n=(n-1)\cdot 2^{n}+1\]
検算:\(n=3\) なら \(S_3=1+4+12=17\)。式は \(2\cdot 8+1=17\)。合っています。
つまずきポイント
- \(rS_n\) をずらさずに書く。 同じ指数の項を縦にそろえるのがすべて。そろえないと何も消えません。
- 最後にはみ出す項を落とす。 \(-(2n-1)\cdot 3^{n}\)、\(-n\cdot 2^{n}\) が必ず1つ残ります。
- 等比数列の部分の初項と項数をまちがえる。 (1) は先頭の \(1\) を外に出して、初項 \(6\)・項数 \(n-1\)。(2) は \(1\) から始めて項数 \(n\)。
- 最後に \(1-r\) で割るのを忘れる。 左辺は \((1-r)S_n\)。(1) なら \(-2\) で割ります。
要点まとめ
- 等差×等比の和は、\(S_n-rS_n\) を考える。
- \(rS_n\) は1つ右にずらして、同じ指数の項を縦にそろえる。
- 引くと真ん中が等比数列の和になる。初項と項数を確かめてから公式へ。
- はみ出した最後の項を残し、最後に \(1-r\) で割る。小さい \(n\) で検算する。
