
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
標本平均も標本比率も、標本が大きければ正規分布で近似できます。 あとは「平均と標準偏差を出す → 標準化して z を求める → 正規分布表を読む」の3手順。信頼区間の幅も、仮説検定の判断も、すべて z の位置で決まります。
この回で扱う問題
ネットショッピングの1世帯あたりの平均月支出額(万円)を考える。
(1) 母平均 3.6、母標準偏差 0.9 の母集団から100世帯を抽出する。標本平均 \(\overline{X}\) は近似的に平均 ア.イ、標準偏差 ウ.エオ の正規分布に従い、\(\overline{X}\gt 3.8\) となる確率はおよそ 0.カキク。
(2) 平均月支出額が4万円以上の世帯の母比率を \(p\) とする。100世帯中20世帯が4万円以上(標本比率 0.20)のとき、標本比率 \(R\) は近似的に平均 \(p\)、標準偏差 \(\sigma=0.\)ケコ の正規分布に従う。 \(P(-1.96\le Z\le 1.96)=0.95\) から作る信頼区間の幅を \(L\)、\(P(-1.67\le Z\le 2.81)=0.95\) から作る幅を \(L'\) とすると、大小関係は サ。また、信頼区間の解釈として最も適当なものは シ。
(3) 2023年に100世帯を調べると25世帯が4万円以上だった。\(p=0.20\) として、有意水準5%で「増えた」といえるか検定する。帰無仮説は「母比率は ス」、対立仮説は「母比率は セ」。 4万円以上の世帯数 \(X'\) は近似的に平均 ソタ、標準偏差 チ の正規分布に従う。\(z\) は棄却域に ツ ので、母比率は2021年より テ。
方針 ― 平均・標準偏差 → z → 正規分布表
- 標本平均:平均 \(m\)、標準偏差 \(\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}\)。
- 標本比率:平均 \(p\)、標準偏差 \(\sqrt{\dfrac{p(1-p)}{n}}\)。個数なら平均 \(np\)、標準偏差 \(\sqrt{np(1-p)}\)。
- 標準化 \(Z=\dfrac{X-\text{平均}}{\text{標準偏差}}\) で、正規分布表を読む。
(1) 標本平均の分布(ア〜エオ)
\[E(\overline{X})=3.6,\qquad \sigma(\overline{X})=\frac{0.9}{\sqrt{100}}=0.09\]
平均 3.6、標準偏差 0.09(ア=3、イ=6、ウ=0、エオ=09)
(1) X̄ > 3.8 となる確率(カキク)
標準化すると
\[z=\frac{3.8-3.6}{0.09}=2.22\cdots\]
正規分布表で \(z_0=2.22\) は 0.4868 なので
\[P(\overline{X}\gt 3.8)=0.5-0.4868=0.0132\]
およそ 0.013(カキク=013)
(2) 標本比率の標準偏差(ケコ)
\(p\) のかわりに標本比率 0.20 を使って
\[\sigma=\sqrt{\frac{0.20\times 0.80}{100}}=\sqrt{0.0016}=0.04\]
\(\sigma=0.04\)(ケコ=04)
(2) 信頼区間の幅 L と L′(サ)
\(-1.96\le Z\le 1.96\) から作ると幅は \(L=(1.96+1.96)\sigma=3.92\sigma\)。
\(-1.67\le Z\le 2.81\) から作ると幅は \(L'=(1.67+2.81)\sigma=4.48\sigma\)。
どちらも面積は 0.95 ですが、正規分布は真ん中が高いので、左右対称にとるのが最も短くなります。
\(L\lt L'\)(サ=⓪)
(2) 信頼区間の意味(シ)
母比率 \(p\) は決まった1つの値で、動くのは標本から作る区間のほうです。「標本を何度もとり直して区間を作ると、そのうち約95%が \(p\) を含む」が正しい解釈です。
- ⓪ 区間は標本の割合を言っていない。
- ① 標本比率 \(R\) が区間 \([A,\ B]\) に入る確率ではない。
- ② 区間はもともと \(R\) を中心に作るので、含むのは当たり前。
(シ=③)
(3) 仮説を立てる(ス・セ)
「増えたかどうか」だけを調べるので、片側検定です。
帰無仮説「0.20 である」(ス=⓪)、対立仮説「0.20 より大きい」(セ=①)
(3) X′ の分布と判断(ソタ〜テ)
帰無仮説のもとで、100世帯のうち4万円以上の世帯数 \(X'\) は二項分布 \(B(100,\ 0.20)\) に従うので
\[E(X')=100\times 0.20=20\]
\[\sigma(X')=\sqrt{100\times 0.20\times 0.80}=4\]
平均 20(ソタ=20)、標準偏差 4(チ=4)
調査では \(X'=25\) なので
\[z=\frac{25-20}{4}=1.25\]
棄却域は \(Z'\ge 1.64\)。\(1.25\lt 1.64\) なので棄却域に入らず、帰無仮説は棄却されません。
棄却域に入らない(ツ=①)ので、増えたとは判断できない(テ=②)
つまずきポイント
- 標本平均の標準偏差を 0.9 のままにする。 \(\sqrt{100}=10\) で割って 0.09。
- 「棄却されない」を「増えていない」と言いきる。 帰無仮説が棄却できないときは「増えたとは判断できない」(②)。①は言いすぎ。
- 信頼区間を「標本比率が入る範囲」と読む。 区間が含むかどうかを問われるのは母比率 \(p\)。
要点まとめ
- 標本平均は平均 3.6、標準偏差 0.09。\(z=2.22\) で \(P(\overline{X}\gt 3.8)\fallingdotseq 0.013\)。
- 標本比率の標準偏差は 0.04。面積 0.95 なら左右対称が最短で \(L\lt L'\)。信頼区間は ③ の意味。
- \(X'\) は平均 20、標準偏差 4。\(z=1.25\lt 1.64\) なので棄却域に入らず、増えたとは判断できない。