共テ数学ⅡBC 第6回【第5問】信頼区間の幅を比べ、確率密度関数の面積で割合を出す ― 統計的な推測

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

母比率の信頼区間の幅は \(2\times 1.96\sqrt{\dfrac{R(1-R)}{n}}\)。標本の大きさ \(n\) が大きいほど、幅は狭くなります。 後半は、ヒストグラムに合わせて1次関数の確率密度関数を作ります。 「全体の面積が 1」と「平均が 4.5」の2つの条件で \(a,\ b\) を決め、5分以上の割合を積分で求めます。

この回で扱う問題

(1) 停留所 A のバスが1分以上遅れて発車したデータを200個抽出すると144個(標本比率 0.72)。標本比率 \(R\) が従う正規分布、標準化、\(P(|Z|\le z)=0.95\) の \(z\) を答えよ。この信頼度95%の信頼区間(※)の幅を \(L_1\)、400個抽出して標本比率 0.8 だったときの幅を \(L_2\) とするとき、\(L_1\) と \(L_2\) の大小を答えよ。

(2) 停留所 B での待ち時間 \(X\) 分(\(1\le X\le 11\))の確率密度関数を \(f(x)=ax+b\) とする。\(P(1\le X\le 11)\) から \(a,\ b\) の関係式を作り、期待値 \(m=\dfrac{1330}{3}a+60b=4.5\) と合わせて \(f(x)\) を求めよ。さらに、待ち時間が5分以上の割合を答えよ。

方針 ― 幅は √(R(1−R)/n)、割合は面積

  • 標本比率 \(R\) は近似的に \(N\left(p,\ \dfrac{p(1-p)}{n}\right)\) に従う。
  • 信頼度95%なら 1.96 を使う。幅は \(2\times1.96\times\sqrt{\dfrac{R(1-R)}{n}}\)。
  • 確率密度関数は、全体の積分が 1。期待値は \(\displaystyle\int xf(x)\,dx\)。
  • 「5分以上の割合」は \(\displaystyle\int_5^{11}f(x)\,dx\)。

(1) 標本比率の分布(ア〜ウ)

標本の大きさ 200 の標本比率 \(R\) は、近似的に正規分布

\[N\left(p,\ \frac{p(1-p)}{200}\right)\]

に従います(ア=②)。標準化すると

\[Z=\frac{R-p}{\sqrt{\dfrac{p(1-p)}{200}}}\]

(イ=③)。正規分布表で \(P(0\le Z\le 1.96)=0.4750\) なので、\(P(|Z|\le 1.96)=0.95\)(ウ=①)。

(1) 信頼区間の幅を比べる(エ)

\(p\) の代わりに標本比率 \(R\) を使うと、信頼区間の幅は \(2\times 1.96\sqrt{\dfrac{R(1-R)}{n}}\) です。

\[L_1=2\times1.96\sqrt{\frac{0.72\times0.28}{200}}\fallingdotseq 0.124\]

\[L_2=2\times1.96\sqrt{\frac{0.8\times0.2}{400}}\fallingdotseq 0.078\]

根号の中は \(0.001008\) と \(0.0004\)。\(n\) が2倍で、\(R(1-R)\) も小さいので、\(L_2\) の方が狭くなります。

0.600.650.700.750.800.85200 個・標本比率 0.72:幅 0.124400 個・標本比率 0.8:幅 0.078幅 = 2 × 1.96 × √(R(1 − R)/n) → L₁ > L₂
2つの信頼区間。400 個の方が幅が狭い

\[L_1\gt L_2\]

(エ=②)

(2) 全体の確率は 1(オ〜ケ)

確率密度関数なので、\(1\le x\le 11\) 全体の積分が 1 です。

\[\int_1^{11}(ax+b)\,dx=\frac{121-1}{2}a+10b\]

\[60a+10b=1\quad\cdots\text{①}\]

(オ=1、カキ=60、クケ=10)

(2) a, b を決める(コサ・シスセ)

①から \(60b=6-360a\)。これを \(m=\dfrac{1330}{3}a+60b=4.5\) に入れます。

\[\frac{1330}{3}a+6-360a=4.5\]

\[\frac{250}{3}a=-1.5\qquad a=-0.018\]

①に戻すと \(10b=1+1.08=2.08\)、\(b=0.208\)。

\[f(x)=-18\cdot10^{-3}x+208\cdot10^{-3}\]

(コサ=18、シスセ=208)

\(f(11)=-0.198+0.208=0.01\gt 0\) なので、\(1\le x\le 11\) で \(f(x)\ge 0\) です。

(2) 5分以上の割合(ソ)

1234567891011102030f(x) × 200(度数に換算)f(x) = −0.018x + 0.2085 分以上:約 38%分
ヒストグラムと f(x)(度数に換算して重ねた)。黄色が 5 分以上

\[\int_5^{11}f(x)\,dx=a\cdot\frac{121-25}{2}+6b\]

\[=-0.018\times48+6\times0.208\]

\[=-0.864+1.248=0.384\]

約 38%(ソ=③)

ヒストグラムで数えても、5分以上は \(19+20+16+13+7+3=78\) 個で \(\dfrac{78}{200}=0.39\)。近い値になっています。

つまずきポイント

  1. 分散と標準偏差を取り違える。 正規分布の2つ目は分散 \(\dfrac{p(1-p)}{n}\)、標準化で割るのはその平方根。
  2. 標本比率が大きい方が幅も大きいと思いこむ。 \(R(1-R)\) は \(R=0.5\) で最大。0.72 と 0.8 では 0.8 の方が小さい。
  3. 積分の区間を 0 からにする。 \(X\) のとり得る値は \(1\le x\le 11\)。
  4. 「5分以上」を \(\int_1^5\) で計算する。 求めるのは \(\int_5^{11}\)。

要点まとめ

  1. 標本比率は \(N\left(p,\ \dfrac{p(1-p)}{n}\right)\)。信頼区間の幅は \(2\times1.96\sqrt{\dfrac{R(1-R)}{n}}\)。\(L_1\fallingdotseq0.124\gt L_2\fallingdotseq0.078\)。
  2. 確率密度関数は全体の積分が 1:\(60a+10b=1\)。平均の条件と合わせて \(f(x)=-0.018x+0.208\)。
  3. 5分以上の割合は \(\int_5^{11}f(x)\,dx=0.384\)、約 38%。
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