共テ数学ⅡBC 第2回【第7問】楕円の対称点を複素数平面で ― 平面上の曲線と複素数平面

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

楕円の2つの焦点 F₁、F₂ と、その上の点Pを結ぶと、接線は ∠F₁PF₂ の外角を2等分します。 F₂ を接線に関して折り返した点Qは、直線 F₁P の上に乗る。 この回は、その様子を複素数平面でたしかめます。偏角の等しさが、そのまま角の大小になります。

この回で扱う問題

楕円 \(E:\ \dfrac{x^2}{6}+\dfrac{y^2}{2}=1\) と点 A(1, 0)。\(E\) 上の点 P(\(x_1,\ y_1\))(\(x_1\gt 0,\ y_1\gt 0\))における接線 \(\ell\) と直線 AP が直交している。

焦点を F₁、F₂(\(x\) 座標の小さい方が F₁)、\(\ell\) と \(x\) 軸の交点を B とする。複素数平面で \(z=x_1+y_1i\)、点Pを \(z\) とし、直線 PB に関して F₂ と対称な点Qを表す複素数 \(w\) を \(z\) で表せ。

方針 ― 座標で P を決め、複素数で角と対称点を見る

  • 焦点は \(\sqrt{6-2}=2\) より F₁(−2, 0)、F₂(2, 0)。
  • 接線の傾きと AP の傾きの積が \(-1\) から \(x_1\) を決める。
  • 複素数 \(\dfrac{z-1}{z+2}\) や \(\dfrac{z-2}{z-1}\) の偏角は、角の大きさを表す。2つの偏角が等しければ、角が等しい。
  • Q は直線 F₁P 上。PF₁:PF₂=3:1 から、\(w\) を \(z\) で書く。

① 焦点と接線(ア・イ)

\(a^2=6,\ b^2=2\)、焦点は \(c=\sqrt{a^2-b^2}=\sqrt{4}=2\)。

\[F_1(-2,\ 0),\quad F_2(2,\ 0)\]

(ア=2)

接線 \(\ell:\ \dfrac{x_1x}{6}+\dfrac{y_1y}{2}=1\) を \(y=\) の形にすると、傾きは \(-\dfrac{x_1/6}{y_1/2}=-\dfrac{x_1}{3y_1}\)。

\(\ell\) の傾き \(=-\dfrac{x_1}{3y_1}\) (イ=④)

② \(x_1\) と点B(ウ・エ・オ)

直線 AP の傾きは \(\dfrac{y_1}{x_1-1}\)。\(\ell\perp\)AP なので、傾きの積が \(-1\):

\[-\frac{x_1}{3y_1}\cdot\frac{y_1}{x_1-1}=-1\ \Longrightarrow\ x_1=3(x_1-1)\]

\[x_1=\frac32\]

(ウ=3、エ=2)

楕円の式から \(\dfrac{9/4}{6}+\dfrac{y_1^2}{2}=1\)、\(y_1^2=\dfrac54\)、\(y_1=\dfrac{\sqrt5}{2}\)。つまり \(z=\dfrac32+\dfrac{\sqrt5}{2}i\)。

B は \(\ell\) と \(x\) 軸の交点。\(y=0\) として \(\dfrac{x_1x}{6}=1\)、\(x=\dfrac{6}{x_1}=4\)。

B(4, 0) (オ=4)

③ 複素数の比で角を見る(カ・キ・ク)

F₁F₂ABPQαβ接線 ℓ(直線 PB)直線 F₁P(延長が Q)α = β、PQ = PF₂
楕円と接線。F₂ の対称点 Q は直線 F₁P の延長上にある

A(1)、F₁(−2)、F₂(2)、B(4)、P(\(z\))。まず \(\dfrac{z-1}{z+2}\) を確かめます。\(z-1=\dfrac12+\dfrac{\sqrt5}{2}i\)、\(z+2=\dfrac72+\dfrac{\sqrt5}{2}i\) より

\[\frac{z-1}{z+2}=\frac{1+\sqrt5 i}{7+\sqrt5 i}=\frac{(1+\sqrt5 i)(7-\sqrt5 i)}{49+5}\]

\[=\frac{12+6\sqrt5 i}{54}=\frac{2+\sqrt5 i}{9}\]

問題文の値と一致しました。次に \(\dfrac{z-2}{z-1}\):\(z-2=-\dfrac12+\dfrac{\sqrt5}{2}i\) なので

\[\frac{z-2}{z-1}=\frac{-1+\sqrt5 i}{1+\sqrt5 i}\]

\[=\frac{(-1+\sqrt5 i)(1-\sqrt5 i)}{6}\]

\[=\frac{4+2\sqrt5 i}{6}=\frac{2+\sqrt5 i}{3}\]

\[\frac{z-2}{z-1}=\frac{2+\sqrt5\,i}{3}\]

(カ=2、キ=5、ク=3)

④ 角 α と β の大小(ケ)

\(\dfrac{z-1}{z+2}=\dfrac{2+\sqrt5 i}{9}\) と \(\dfrac{z-2}{z-1}=\dfrac{2+\sqrt5 i}{3}\) は、どちらも「\(2+\sqrt5 i\) の正の実数倍」。偏角が等しいのです。

  • \(\dfrac{z-1}{z+2}\) の偏角は、PF₁ の向きから PA の向きへの回転角 \(\alpha=\angle F_1PA\)。
  • \(\dfrac{z-2}{z-1}\) の偏角は、PA の向きから PF₂ の向きへの回転角 \(\beta=\angle APF_2\)。

\(\alpha=\beta\) (ケ=①)

つまり直線 AP は \(\angle F_1PF_2\) の二等分線。接線 \(\ell\) は AP と垂直なので、\(\ell\)(直線 PB)は外角の二等分線です。

⑤ 点Qは直線 F₁P 上にある(コ)

直線 PB に関して F₂ と対称な点が Q です。PB が \(\angle F_1PF_2\) の外角を2等分しているので、F₂ を折り返した Q は直線 F₁P の、P をこえた側に乗ります。

点Qは直線 F₁P 上に ある(コ=⓪)

⑥ \(w\) を \(z\) で表す(サ・シ・ス)

折り返しなので PQ=PF₂。問題文より PF₁:PF₂=3:1 だから、PQ=\(\dfrac13\)PF₁。Q は F₁ から P の向きにのびた先で、\(\overrightarrow{PQ}=\dfrac13\overrightarrow{F_1P}\) です。

\[w=z+\frac13\,(z-(-2))\]

\[=z+\frac{z+2}{3}=\frac{4z+2}{3}\]

\[w=\frac{4z+2}{3}\]

(サ=4、シ=2、ス=3)

確かめ:\(z=\dfrac32+\dfrac{\sqrt5}{2}i\) のとき \(|z+2|=\left|\dfrac72+\dfrac{\sqrt5}{2}i\right|=\dfrac{3\sqrt6}{2}\)、\(|z-2|=\left|-\dfrac12+\dfrac{\sqrt5}{2}i\right|=\dfrac{\sqrt6}{2}\)。PF₁:PF₂=3:1 になっています。また \(|w-z|=\dfrac{|z+2|}{3}=\dfrac{\sqrt6}{2}=|z-2|\)、つまり PQ=PF₂ も成り立ちます。

つまずきポイント

  1. 焦点の位置。 楕円 \(\dfrac{x^2}{6}+\dfrac{y^2}{2}=1\) は \(a^2\gt b^2\)(横長)。焦点は \(\pm\sqrt{a^2-b^2}=\pm 2\)。\(\sqrt{a^2+b^2}\)(双曲線)と混ぜない。
  2. 接線の傾きの符号。 \(\dfrac{x_1x}{6}+\dfrac{y_1y}{2}=1\) の傾きは \(-\dfrac{x_1}{3y_1}\)。符号のマイナスと、分母の3を忘れやすい。
  3. 偏角と角の対応。 \(\dfrac{z_1-z_0}{z_2-z_0}\) の偏角は、2つのベクトルのなす角(向き付き)。比が実数倍ずつなら、角が等しい。
  4. Q は線分ではなく延長上。 Q は F₁P の延長(P の向こう側)にあるので、\(w=z+\dfrac{1}{3}(z+2)\)。\(z-\dfrac13(z+2)\) ではない。
  5. 最後の検算。 PQ=PF₂ を計算で確かめると、PF₁:PF₂=3:1 の使い方が正しいか分かる。

要点まとめ

  1. 楕円 \(\dfrac{x^2}{6}+\dfrac{y^2}{2}=1\) の焦点は \((\pm 2,\ 0)\)。接線は \(\dfrac{x_1x}{6}+\dfrac{y_1y}{2}=1\)。
  2. AP ⊥ 接線の条件(傾きの積が \(-1\))から \(x_1=\dfrac32\)、\(y_1=\dfrac{\sqrt5}{2}\)、B(4, 0)。
  3. \(\dfrac{z-1}{z+2}\) と \(\dfrac{z-2}{z-1}\) は偏角が等しい → \(\alpha=\beta\)。AP は \(\angle F_1PF_2\) の二等分線で、接線は外角の二等分線。
  4. F₂ の対称点 Q は直線 F₁P 上。PF₁:PF₂=3:1 から \(w=\dfrac{4z+2}{3}\)。
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