数学Ⅲα【135】差の絶対値は2乗して共役との積で展開

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

複素数の差の絶対値は、2乗して \(|\alpha|^2=\alpha\overline{\alpha}\) で展開するのが定石です。 実数のように \((a-b)^2=a^2-2ab+b^2\) とはできません。 共役どうしの和 \(z\overline{w}+\overline{z}w\) が出てきたら、実部の2倍です。

この回で扱う問題

\(z,\ w\) を \(|z|=2,\ |w|=5\) を満たす複素数とする。 \(z\overline{w}\) の実部が \(3\) であるとき、\(|z-w|\) の値を求めよ。 ただし、\(\overline{w}\) は \(w\) の共役な複素数である。

(愛媛大)

方針 ― 2乗して、共役との積で展開

  • \(|z-w|\) はそのままでは計算できないので、2乗する。
  • \(|\alpha|^2=\alpha\overline{\alpha}\) で、\(|z-w|^2=(z-w)\overline{(z-w)}\)。
  • \(z\overline{w}\) と \(\overline{z}w\) は共役どうし。和は実部の2倍。
実軸虚軸Ozw|z − w|25|z| = 2, |w| = 5これだけでは |z − w| は決まらないz と(w の共役)の積の実部 = 3 が2点の位置関係を決める
|z−w| は複素数平面上の z と w の距離。|z|=2、|w|=5 だけでは決まらない

まちがえやすい展開

\(|z-w|^2=|z|^2-2zw+|w|^2\) は誤りです。

\(zw\) は一般に実数ではなく、\(|z-w|^2\) は実数なので、式が合いません。

共役との積で展開する

\(\overline{z-w}=\overline{z}-\overline{w}\) なので

\[|z-w|^2=(z-w)\left(\overline{z}-\overline{w}\right)\]

\[=z\overline{z}-z\overline{w}-\overline{z}w+w\overline{w}\]

\[=|z|^2-\left(z\overline{w}+\overline{z}w\right)+|w|^2\]

\[=29-\left(z\overline{w}+\overline{z}w\right)\]

\(z\overline{w}+\overline{z}w\) を求める

\(\overline{z\overline{w}}=\overline{z}w\) なので、\(z\overline{w}\) と \(\overline{z}w\) は共役な複素数です。

\(z\overline{w}\) の実部が \(3\) なので、虚部を \(b\) とすると

\[z\overline{w}=3+bi,\quad \overline{z}w=3-bi\]

足すと虚部が消えて

\[z\overline{w}+\overline{z}w=3+3=6\]

答え

\[|z-w|^2=29-6=23\]

\(|z-w|\ge0\) なので

\(|z-w|=\sqrt{23}\)

つまずきポイント

  1. \((a-b)^2\) の公式で展開する。 複素数の絶対値の2乗は、\(\alpha\overline{\alpha}\) で展開します。
  2. \(\overline{z}w\) の値がわからないと止まる。 \(z\overline{w}\) の共役です。実部は同じ \(3\)、虚部は符号が逆。
  3. 最後に平方根をとり忘れる。 求めるのは \(|z-w|\)。\(23\) は2乗の値です。

要点まとめ

  1. 複素数の絶対値は2乗して \(\alpha\overline{\alpha}\)。
  2. \(|z-w|^2=|z|^2-\left(z\overline{w}+\overline{z}w\right)+|w|^2\)。
  3. \(z\overline{w}+\overline{z}w\) は実部の2倍(共役どうしの和)。
板書 【134】【135】【136】
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