
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
複素数の差の絶対値は、2乗して \(|\alpha|^2=\alpha\overline{\alpha}\) で展開するのが定石です。 実数のように \((a-b)^2=a^2-2ab+b^2\) とはできません。 共役どうしの和 \(z\overline{w}+\overline{z}w\) が出てきたら、実部の2倍です。
この回で扱う問題
\(z,\ w\) を \(|z|=2,\ |w|=5\) を満たす複素数とする。 \(z\overline{w}\) の実部が \(3\) であるとき、\(|z-w|\) の値を求めよ。 ただし、\(\overline{w}\) は \(w\) の共役な複素数である。
(愛媛大)
方針 ― 2乗して、共役との積で展開
- \(|z-w|\) はそのままでは計算できないので、2乗する。
- \(|\alpha|^2=\alpha\overline{\alpha}\) で、\(|z-w|^2=(z-w)\overline{(z-w)}\)。
- \(z\overline{w}\) と \(\overline{z}w\) は共役どうし。和は実部の2倍。
まちがえやすい展開
\(|z-w|^2=|z|^2-2zw+|w|^2\) は誤りです。
\(zw\) は一般に実数ではなく、\(|z-w|^2\) は実数なので、式が合いません。
共役との積で展開する
\(\overline{z-w}=\overline{z}-\overline{w}\) なので
\[|z-w|^2=(z-w)\left(\overline{z}-\overline{w}\right)\]
\[=z\overline{z}-z\overline{w}-\overline{z}w+w\overline{w}\]
\[=|z|^2-\left(z\overline{w}+\overline{z}w\right)+|w|^2\]
\[=29-\left(z\overline{w}+\overline{z}w\right)\]
\(z\overline{w}+\overline{z}w\) を求める
\(\overline{z\overline{w}}=\overline{z}w\) なので、\(z\overline{w}\) と \(\overline{z}w\) は共役な複素数です。
\(z\overline{w}\) の実部が \(3\) なので、虚部を \(b\) とすると
\[z\overline{w}=3+bi,\quad \overline{z}w=3-bi\]
足すと虚部が消えて
\[z\overline{w}+\overline{z}w=3+3=6\]
答え
\[|z-w|^2=29-6=23\]
\(|z-w|\ge0\) なので
\(|z-w|=\sqrt{23}\)
つまずきポイント
- \((a-b)^2\) の公式で展開する。 複素数の絶対値の2乗は、\(\alpha\overline{\alpha}\) で展開します。
- \(\overline{z}w\) の値がわからないと止まる。 \(z\overline{w}\) の共役です。実部は同じ \(3\)、虚部は符号が逆。
- 最後に平方根をとり忘れる。 求めるのは \(|z-w|\)。\(23\) は2乗の値です。
要点まとめ
- 複素数の絶対値は2乗して \(\alpha\overline{\alpha}\)。
- \(|z-w|^2=|z|^2-\left(z\overline{w}+\overline{z}w\right)+|w|^2\)。
- \(z\overline{w}+\overline{z}w\) は実部の2倍(共役どうしの和)。
