数学Ⅲα【136】1の5乗根は相反方程式でcosを出す

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

\(z=\cos\frac25\pi+i\sin\frac25\pi\) は、\(z^5=1\) を満たす1の5乗根です。 \(z^5-1\) を因数分解すると、係数が左右対称な4次方程式(相反方程式)が出てきます。 \(z^2\) で割って \(w=z+\frac1z\) とおくと2次方程式になり、\(\cos\frac25\pi\) の値が求まります。

この回で扱う問題

\(\cos\frac25\pi\) を求めたい。\(z=\cos\frac25\pi+i\sin\frac25\pi\) とおく。 \(z^n=1\) を満たす最小の自然数 \(n\) は \(\fbox{ア}\) であるから、 \(z\) は方程式 \(z^4+\fbox{イ}z^3+z^2+z+1=0\) の解となる。 そこで \(w=z+\frac1z\) とおくと、\(w\) は方程式 \(w^2+\fbox{ウ}w+\fbox{エ}=0\) の解となり、 \(\frac1z=\cos\frac25\pi-i\sin\frac25\pi\) および \(\cos\frac25\pi\gt 0\) であることから \(\cos\frac25\pi=\fbox{オ}\) を得る。

(慶應義塾大)

方針 ― 「\(z^n=1\) シリーズ」の3つの道具

  • ド・モアブルの定理で \(z^n\) を計算し、\(z^5=1\) を見つける。
  • \(z^5-1=(z-1)(z^4+z^3+z^2+z+1)\) と因数分解する。
  • 左右対称な4次方程式は、\(z^2\) で割って \(w=z+\frac1z\) とおく。
実軸虚軸Oz1/z(z の共役)w = 2cos(2π/5)2π/51z⁵ = 1 の解は単位円上の正五角形z + 1/z は実軸の上に乗るcos(2π/5) > 0 なので w > 0
1の5乗根は単位円の上の正五角形。z と 1/z(=z の共役)を足すと実軸上の 2cos(2π/5)

ア:最小の \(n\)

ド・モアブルの定理より

\[z^n=\cos\frac{2n}{5}\pi+i\sin\frac{2n}{5}\pi\]

\(z^n=1\) となるのは \(\frac{2n}{5}\pi=2k\pi\)(\(k\) は整数)のとき。最小の自然数は

\(n=5\) (ア=5)

イ:因数分解

\(z^5=1\) より \(z^5-1=0\)。左辺を因数分解して

\[(z-1)\left(z^4+z^3+z^2+z+1\right)=0\]

\(z\neq1\) なので

\[z^4+z^3+z^2+z+1=0\]

イ=1 です。

ウ・エ:\(z^2\) で割って \(w\) におきかえる

係数が \(1,1,1,1,1\) と左右対称です。\(z\neq0\) なので両辺を \(z^2\) で割ると

\[z^2+z+1+\frac1z+\frac1{z^2}=0\]

対称な項をペアにして

\[\left(z^2+\frac1{z^2}\right)+\left(z+\frac1z\right)+1=0\]

\(w=z+\frac1z\) とおくと、\(w^2=z^2+2+\frac1{z^2}\) より

\[z^2+\frac1{z^2}=w^2-2\]

代入して

\[(w^2-2)+w+1=0\]

\(w^2+w-1=0\)

ウ=1、エ=−1 です。

オ:\(\cos\frac25\pi\) の値

\(\frac1z=z^{-1}=\cos\frac25\pi-i\sin\frac25\pi\) なので

\[w=z+\frac1z=2\cos\frac25\pi\]

\(\cos\frac25\pi\gt 0\) より \(w\gt 0\)。\(w^2+w-1=0\) を解くと

\[w=\frac{-1\pm\sqrt5}{2}\]

正のほうを選んで \(w=\frac{-1+\sqrt5}{2}\)。よって

\[\cos\frac25\pi=\frac{w}{2}=\frac{-1+\sqrt5}{4}\]

(オ=\(\frac{-1+\sqrt5}{4}\)。およそ \(0.309\) で、\(\cos72^\circ\) の値と合っています。)

別解:イは等比数列の和でも

\(z\neq1\) なので、初項 \(1\)、公比 \(z\)、項数 \(5\) の等比数列の和を考えると

\[1+z+z^2+z^3+z^4=\frac{1-z^5}{1-z}=0\]

つまずきポイント

  1. \(z=1\) の解を残してしまう。 \(z\neq1\) だから、4次の因数のほうが \(0\) になります。
  2. \(z^2\) で割る理由がわからない。 係数が左右対称なので、真ん中の \(z^2\) で割ると \(z^k\) と \(\frac1{z^k}\) がペアになります。
  3. \(w^2=z^2+\frac1{z^2}\) としてしまう。 2乗すると真ん中に \(2\) が出ます。\(z^2+\frac1{z^2}=w^2-2\)。
  4. \(w\) の符号を決め忘れる。 \(\cos\frac25\pi\gt 0\) が、ここで使う条件です。

要点まとめ

  1. \(z=\cos\frac{2\pi}{n}+i\sin\frac{2\pi}{n}\) は\(z^n=1\)。まず \(z^n-1\) を因数分解。
  2. 係数が左右対称な方程式は、真ん中の次数で割って \(w=z+\frac1z\)。
  3. \(z^2+\frac1{z^2}=w^2-2\)。
  4. \(\frac1z=\overline{z}\) なので \(w=2\cos\frac{2\pi}{n}\)。符号の条件で解を選ぶ。
板書 【134】【135】【136】
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