数学Ⅲα【132】切り口の面積を積分して体積を出す

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

立体の体積は切り口の面積を積分すれば求まります。 不等式で決まる立体なら、切る平面の式(\(y=t\) や \(x=t\))を不等式に代入するだけで、 切り口が満たす条件がわかります。3次元を2次元に落とすのが合言葉です。

この回で扱う問題

\(xyz\) 空間において、不等式 \(x^2+y^2\le1,\ 0\le z\le x^2\) で定まる立体を \(V\) とする。 \(t\) を \(-1\le t\le1\) を満たす実数とする。

(1) \(V\) の平面 \(y=0\) による切り口の概形をかけ。

(2) \(V\) の平面 \(y=t\) による切り口の面積を \(t\) の関数で表せ。

(3) \(V\) の平面 \(x=t\) による切り口の面積を \(t\) の関数で表せ。

(4) \(V\) の体積を求めよ。

(北見工業大)

方針 ― 切る平面の式を代入して2次元にする

  • \(V\) は円柱 \(x^2+y^2\le1\) を、放物柱面 \(z=x^2\) の下で切り取った立体。
  • 平面 \(y=t\) で切るなら \(y\) に \(t\) を代入。残るのは \(x\) と \(z\) の不等式で、\(xz\) 平面の図形になる。
  • 平面 \(x=t\) で切るなら \(x\) に \(t\) を代入。今度は \(y\) と \(z\) の不等式。
  • 体積は、どちらの切り口の面積を \(-1\) から \(1\) まで積分しても求まる。
xyzOx = t の切り口z = x²z = x²円柱 x² + y² ≦ 1 の0 ≦ z ≦ x² の部分x = ±1 に近いほど高く、x = 0(y 軸の上)では高さ 0
立体 V:円柱 x²+y²≦1 のうち、0≦z≦x² の部分。x=t で切ると長方形

(1) 平面 \(y=0\) による切り口

\(y=0\) を代入すると

\[x^2\le1,\quad 0\le z\le x^2\]

つまり \(-1\le x\le1\) で、放物線 \(z=x^2\) と \(x\) 軸の間の部分です。

xzO−111z = x²
(1) y=0 による切り口:−1≦x≦1 で、放物線 z=x² の下

この時点で、問題は2次元になっています。

(2) 平面 \(y=t\) による切り口

\(y=t\) を代入すると

\[x^2+t^2\le1,\quad 0\le z\le x^2\]

\(x^2+t^2\le1\) を \(x\) の式として見ると \(x^2-(1-t^2)\le0\) なので

\[\left(x+\sqrt{1-t^2}\right)\left(x-\sqrt{1-t^2}\right)\le0\]

\[-\sqrt{1-t^2}\le x\le\sqrt{1-t^2}\]

(1) と同じ形で、\(x\) の範囲だけが \(\pm\sqrt{1-t^2}\) に縮みます。

xzO−√(1−t²)√(1−t²)y = t の切り口面積 (2/3)(1−t²)√(1−t²)yzO−√(1−t²)√(1−t²)z = t²x = t の切り口(長方形)面積 t² × 2√(1−t²)
左:y=t の切り口(放物線の下)。右:x=t の切り口(縦 t²、横 2√(1−t²) の長方形)

切り口は \(z\) 軸に関して対称なので、面積は

\[2\int_0^{\sqrt{1-t^2}}x^2\,dx=2\left[\frac13x^3\right]_0^{\sqrt{1-t^2}}\]

\[\frac23\left(1-t^2\right)^{\frac32}\]

(3) 平面 \(x=t\) による切り口

\(x=t\) を代入すると

\[t^2+y^2\le1,\quad 0\le z\le t^2\]

今度は \(y\) の式です。同じように

\[-\sqrt{1-t^2}\le y\le\sqrt{1-t^2},\quad 0\le z\le t^2\]

\(z\) の上限 \(t^2\) は \(y\) によらない定数なので、切り口は長方形です。

縦 \(t^2\)、横 \(2\sqrt{1-t^2}\) なので、面積は

\[2t^2\sqrt{1-t^2}\]

(4) 体積

(2) の切り口で積分しても、(3) の切り口で積分しても求まります。

解1:(2) の \(y\) の切り口で積分

\[v=\int_{-1}^{1}\frac23\left(1-t^2\right)^{\frac32}dt\]

\(\left(1-t^2\right)^{\frac32}\) は偶関数なので

\[v=\frac43\int_0^1\left(1-t^2\right)^{\frac32}dt\]

\(t=\sin\theta\) とおくと \(dt=\cos\theta\,d\theta\)。\(t:0\to1\) のとき \(\theta:0\to\frac{\pi}{2}\) です。

\[v=\frac43\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos^4\theta\,d\theta\]

\(\cos^2\theta=\frac{1+\cos2\theta}{2}\) を2回使って次数を下げると

\[\cos^4\theta=\frac38+\frac12\cos2\theta+\frac18\cos4\theta\]

\[\int_0^{\frac{\pi}{2}}\cos^4\theta\,d\theta=\frac38\cdot\frac{\pi}{2}=\frac{3}{16}\pi\]

(\(\cos2\theta,\ \cos4\theta\) の項は \(0\) になります。)

\[v=\frac43\cdot\frac{3}{16}\pi=\frac{\pi}{4}\]

解2:(3) の \(x\) の切り口で積分

\[v=\int_{-1}^{1}2t^2\sqrt{1-t^2}\,dt=4\int_0^1t^2\sqrt{1-t^2}\,dt\]

\(t=\sin\theta\) とおくと

\[v=4\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^2\theta\cos^2\theta\,d\theta\]

\[=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^22\theta\,d\theta\]

\[=\int_0^{\frac{\pi}{2}}\frac{1-\cos4\theta}{2}\,d\theta=\frac{\pi}{4}\]

2通りの答えが一致しました。答えを確かめる方法としても使えます。

つまずきポイント

  1. 立体の形を思い浮かべようとして止まる。 形が見えなくても、切り口の面積がわかれば体積は出せます。まず代入です。
  2. \(x^2+t^2\le1\) を \(x\le\sqrt{1-t^2}\) だけにする。 2次不等式なので、\(-\sqrt{1-t^2}\le x\le\sqrt{1-t^2}\) の両側です。
  3. \(x=t\) の切り口を放物線の下だと思う。 \(x=t\) を代入すると \(z\) の上限は \(t^2\) という定数。切り口は長方形です。
  4. \(\cos^4\theta\) をそのまま積分しようとする。 半角の公式を2回使って、\(\cos2\theta,\ \cos4\theta\) の1次式に直します。

要点まとめ

  1. 体積は切り口の面積を積分。立体の形がわからなくてもよい。
  2. 切る平面の式を不等式に代入すると、2次元の図形になる。
  3. \(y=t\) の切り口は放物線の下で \(\frac23(1-t^2)^{\frac32}\)、\(x=t\) の切り口は長方形で \(2t^2\sqrt{1-t^2}\)。
  4. どちらで積分しても \(v=\frac{\pi}{4}\)。2通りで検算できる。
板書 【132】不等式で決まる立体の切り口
板書 【132】不等式で決まる立体の切り口
Sponsord Link
おすすめの記事