
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
\(\arg\dfrac{z-5}{z-1}\) は、点 P から見たA から B への回転角です。 円周角の定理を偏角で言いかえると、同じ側なら偏角が等しく、反対側なら和が \(\pm\pi\)。最後の範囲は「角が小さい=円の外」と読みます。
この回で扱う問題
異なる四つの複素数 \(1,\ 5,\ z,\ w\) が表す点を、それぞれ A、B、P、Q とする。
(1) \(|z-1|=|z-5|\) を満たす点 P 全体は ア(⓪ 実軸(2点 A、B は含まない) ① 虚軸 ② 2点 A、B を両端とする線分の垂直二等分線 ③ 2点 A、B を直径の両端とする円)。\(|z-1|\lt|z-5|\) を満たす点 P 全体は イ の斜線部分(⓪ \(x\lt1\) ① \(1\lt x\lt5\) ② \(x\gt5\) ③ \(x\lt3\) ④ \(x\gt3\) ⑤ 円の内部 ⑥ 円の外部)。
(2) 偏角は \(-\pi\lt\theta\le\pi\) で考える。P、Q は直線 AB 上にないとし、\(\triangle ABP\) の外接円を \(C\) とする。P、Q が直線 AB に関して同じ側にあり Q が \(C\) 上にあるとき、\(\arg\dfrac{z-5}{z-1}=\arg\dfrac{w-\fbox{ウ}}{w-\fbox{エ}}\)。このとき \(\dfrac{z-5}{z-1}\cdot\dfrac{w-\fbox{エ}}{w-\fbox{ウ}}\) は オ。反対側にあり Q が \(C\) 上にあるとき
\(\arg\dfrac{z-5}{z-1}+\arg\dfrac{w-\fbox{エ}}{w-\fbox{ウ}}=\) カ(⓪ 0 ① \(\frac\pi2\) ② \(-\frac\pi2\) ③ \(\pm\frac\pi2\) ④ \(\pi\) ⑤ \(-\pi\) ⑥ \(\pm\pi\))。このとき上の積は キ。
オ・キの選択肢:⓪ 実部が正である虚数 ① 実部が負である虚数 ② 正の実数 ③ 負の実数 ④ 虚部が正である純虚数ではない虚数 ⑤ 虚部が負である純虚数ではない虚数 ⑥ 虚部が正である純虚数 ⑦ 虚部が負である純虚数 ⑧ 0
(3) \(z\) の虚部が正であるとき、\(\dfrac{z-5}{z-1}\cdot\dfrac{w-\fbox{エ}}{w-\fbox{ウ}}\) の虚部が正である点 \(w\) 全体を図示すると ク(⓪ 円 \(C\) の内部 ① 円 \(C\) の外部 ② 円 \(C\) の内部と実軸より下 ③ 円 \(C\) の外部で実軸より上。境界線と実軸は含まない)。
方針 ― 偏角は回転角
- \(|z-1|\) は P と A の距離。距離の比較は垂直二等分線で分ける。
- \(\arg\dfrac{z-5}{z-1}\) は \(\overrightarrow{PA}\) から \(\overrightarrow{PB}\) へ回る角(向きつき)。
- 積の偏角は偏角の和。\(\arg\dfrac{w-1}{w-5}=-\arg\dfrac{w-5}{w-1}\)。
(1) 等式と不等式(ア・イ)
\(|z-1|=|z-5|\) は PA=PB。A、B から等距離の点は、線分 AB の垂直二等分線 \(x=3\) です。
\(|z-1|\lt|z-5|\) は PA<PB、つまり A のほうに近い側で \(x\lt3\) です。
垂直二等分線(ア=②)、\(x\lt3\)(イ=③)
(2) 同じ側のとき(ウ〜オ)
P と Q が同じ弧の上にあれば、円周角の定理で \(\angle APB=\angle AQB\)。しかも A から B へ回る向きも同じです。
\[\arg\frac{z-5}{z-1}=\arg\frac{w-5}{w-1}\]
すると
\[\arg\left(\frac{z-5}{z-1}\cdot\frac{w-1}{w-5}\right)=0\]
偏角が0の複素数は正の実数です。
(ウ=5、エ=1、オ=②)
(2) 反対側のとき(カ・キ)
円に内接する四角形 APBQ の対角なので \(\angle APB+\angle AQB=\pi\)。回る向きは逆になります。
P が上側なら \(\arg\dfrac{z-5}{z-1}=\angle APB\)、\(\arg\dfrac{w-1}{w-5}=\angle AQB\) で、和は \(\pi\)。P が下側なら符号がそろって反転し、和は \(-\pi\)。
\[\arg\frac{z-5}{z-1}+\arg\frac{w-1}{w-5}=\pm\pi\]
偏角が \(\pm\pi\) の複素数は負の実数です。
(カ=⑥、キ=③)
(3) 虚部が正となる w(ク)
\(\theta=\arg\dfrac{z-5}{z-1}=\angle APB\)(\(0\lt\theta\lt\pi\))とします。積の偏角は
\[\theta-\arg\frac{w-5}{w-1}\]
これが \(0\) と \(\pi\) の間にあれば虚部は正です。
- \(w\) が上側:\(\arg\dfrac{w-5}{w-1}=\angle AWB\)。\(\angle AWB\lt\theta\) が条件。円周角より小さいのは円の外。
- \(w\) が下側:\(\arg\dfrac{w-5}{w-1}=-\angle AWB\)。\(\theta+\angle AWB\lt\pi\) が条件。下の弧での角は \(\pi-\theta\) なので、これより小さいのは円の外。
円 \(C\) の外部(ク=①)
つまずきポイント
- ウ・エを逆に入れる。 \(\dfrac{z-5}{z-1}\) とそろえて \(\dfrac{w-5}{w-1}\)。
- 反対側の和を \(\pi\) だけにする。 P が下側なら \(-\pi\)。偏角の範囲が \(-\pi\lt\theta\le\pi\) なので答えは \(\pm\pi\)。
- (3) を上半分だけで考える。 下側でも条件は「円の外」。全体で円の外部になる。
要点まとめ
- \(|z-1|=|z-5|\) は垂直二等分線(ア=②)、\(\lt\) は \(x\lt3\)(イ=③)。
- 同じ側:偏角が等しく、積は正の実数(オ=②)。反対側:和が \(\pm\pi\)(カ=⑥)、積は負の実数(キ=③)。
- 虚部が正となる \(w\) は円 \(C\) の外部(ク=①)。