共テ数学ⅡBC 第10回【第5問】独立な4つの和は標準偏差が2倍、二項分布は正規分布で近似する ― 統計的な推測

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

独立な確率変数を4つ足すと、平均は4倍ですが標準偏差は \(\sqrt4=2\) 倍にしかなりません。 1つを4倍すると標準偏差も4倍。この違いが「独立」の効き目です。後半は二項分布を正規分布で近似し、母平均の信頼区間を求めます。

この回で扱う問題

(1) 内容量 50 g と表示された小袋が四つ入ったお菓子の袋(大袋)がある。四つの小袋のお菓子の重さ \(X_1,X_2,X_3,X_4\)(g)は、それぞれ正規分布 \(N(51.0,\ 0.3^2)\) に従う。\(Y=X_1+X_2+X_3+X_4\) とおくと、各 \(X_i\) は互いに独立と考えてよいから \(E(Y)=\) アイウ、\(\sigma(Y)=\) エ.オ。また \(X\) が \(N(51.0,\ 0.3^2)\) に従うとき、\(Z=4X\) の平均は アイウ、標準偏差は \(\sigma(Z)=\) カ.キ。

(2) どの \(X_i\) についても \(X_i\ge 51.075\) となる確率を 0.4 とする。24 個の小袋のうち 51.075 g 以上の個数 \(X\) は二項分布 \(B(24,\ 0.4)\) に従い、平均 ク.ケ、標準偏差 コ.サ の正規分布で近似できる。\(P(X\ge 12)=0.\)シスセ。

(3) 100 袋の標本平均 51、標本の標準偏差 0.6 をもとに、小数第2位を四捨五入した母平均 \(m\) の信頼度 95% の信頼区間は ソ(⓪ [49.0, 53.0] ① [49.8, 52.2] ② [50.4, 51.6] ③ [50.9, 51.1])。

方針 ― 独立なら分散が足せる

  • 平均はいつでも足せる:\(E(X_1+\cdots+X_4)\)
    \(\quad=E(X_1)+\cdots+E(X_4)\)。
  • 独立なら分散が足せる:\(V(Y)=V(X_1)+\cdots+V(X_4)\)。標準偏差は足せない。
  • 定数倍は \(E(aX)=aE(X)\)、\(\sigma(aX)=|a|\sigma(X)\)。
  • \(B(n,\ p)\) の平均は \(np\)、分散は \(np(1-p)\)。

(1) Y の平均と標準偏差(アイウ〜オ)

\[E(Y)=51.0\times4=204\]

独立なので分散を足します。

\[V(Y)=0.3^2\times4=0.36\]

\[\sigma(Y)=\sqrt{0.36}=0.6\]

\(E(Y)=204\)(アイウ=204)、\(\sigma(Y)=0.6\)(エ.オ=0.6)

(1) Z = 4X の標準偏差(カ・キ)

\(E(Z)=4\times51.0=204\) は同じですが、標準偏差は4倍になります。

\[\sigma(Z)=4\times0.3=1.2\]

\(Y\) は4つの重さが独立にばらつくので、重いものと軽いものが打ち消し合い、広がりが \(Z\) の半分ですみます。

202203204205206Y:σ = 0.6Z = 4X:σ = 1.2平均はどちらも 204。独立に4つ足すと、ずれが打ち消し合って広がりが小さい
平均はどちらも 204。Y(σ = 0.6)は Z = 4X(σ = 1.2)より広がりが小さい

\(\sigma(Z)=1.2\)(カ.キ=1.2)

(2) 二項分布の平均と標準偏差(ク〜サ)

(参考:\(X_i\ge51.075\) は \(z=\dfrac{0.075}{0.3}=0.25\) 以上で、確率は \(0.5-0.0987\fallingdotseq0.4\)。)

\(B(24,\ 0.4)\) なので

\[\text{平均}=24\times0.4=9.6\]

\[\text{分散}=24\times0.4\times0.6=5.76\]

\[\text{標準偏差}=\sqrt{5.76}=2.4\]

平均 9.6(ク.ケ=9.6)、標準偏差 2.4(コ.サ=2.4)

(2) P(X ≧ 12)(シスセ)

\(a=9.6\)、\(b=2.4\) として標準化します。

\[\frac{12-9.6}{2.4}=\frac{2.4}{2.4}=1\]

\[P(X\ge12)=P(Z\ge1)\]

\[=0.5-0.3413=0.1587\]

小数第3位までで 0.159 です。

02468101214161820平均 9.612 = 9.6 + 2.4(z = 1)0.5 − 0.3413 = 0.1587
B(24, 0.4) の棒グラフと近似の正規分布。12 は平均から標準偏差1つ分右

\(P(X\ge12)=0.159\)(シスセ=159)

(3) 信頼区間(ソ)

標本が大きい(100 袋)ので、母標準偏差の代わりに標本の標準偏差 0.6 を使います。

\[1.96\times\frac{0.6}{\sqrt{100}}=1.96\times0.06=0.1176\]

\[51-0.1176=50.88\ldots\]

\[51+0.1176=51.11\ldots\]

小数第2位を四捨五入して \([50.9,\ 51.1]\)。

(ソ=③)

つまずきポイント

  1. 標準偏差をそのまま足して \(0.3\times4=1.2\) とする。 独立な和は分散を足す。\(\sqrt{4\times0.09}=0.6\)。
  2. \(Y\) と \(Z=4X\) を同じものと思う。 平均は同じでも、1つを4倍すると標準偏差は4倍。
  3. 信頼区間で \(\sqrt{100}\) で割り忘れる。 標本平均の標準偏差は \(\dfrac{0.6}{10}=0.06\)。

要点まとめ

  1. \(E(Y)=204\)、\(\sigma(Y)=0.6\)。\(Z=4X\) は \(\sigma(Z)=1.2\)。
  2. \(B(24,\ 0.4)\) は平均 9.6、標準偏差 2.4。\(P(X\ge12)=P(Z\ge1)=0.159\)。
  3. \(51\pm1.96\times0.06\) → \([50.9,\ 51.1]\)(ソ=③)。
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