
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
独立な確率変数を4つ足すと、平均は4倍ですが標準偏差は \(\sqrt4=2\) 倍にしかなりません。 1つを4倍すると標準偏差も4倍。この違いが「独立」の効き目です。後半は二項分布を正規分布で近似し、母平均の信頼区間を求めます。
この回で扱う問題
(1) 内容量 50 g と表示された小袋が四つ入ったお菓子の袋(大袋)がある。四つの小袋のお菓子の重さ \(X_1,X_2,X_3,X_4\)(g)は、それぞれ正規分布 \(N(51.0,\ 0.3^2)\) に従う。\(Y=X_1+X_2+X_3+X_4\) とおくと、各 \(X_i\) は互いに独立と考えてよいから \(E(Y)=\) アイウ、\(\sigma(Y)=\) エ.オ。また \(X\) が \(N(51.0,\ 0.3^2)\) に従うとき、\(Z=4X\) の平均は アイウ、標準偏差は \(\sigma(Z)=\) カ.キ。
(2) どの \(X_i\) についても \(X_i\ge 51.075\) となる確率を 0.4 とする。24 個の小袋のうち 51.075 g 以上の個数 \(X\) は二項分布 \(B(24,\ 0.4)\) に従い、平均 ク.ケ、標準偏差 コ.サ の正規分布で近似できる。\(P(X\ge 12)=0.\)シスセ。
(3) 100 袋の標本平均 51、標本の標準偏差 0.6 をもとに、小数第2位を四捨五入した母平均 \(m\) の信頼度 95% の信頼区間は ソ(⓪ [49.0, 53.0] ① [49.8, 52.2] ② [50.4, 51.6] ③ [50.9, 51.1])。
方針 ― 独立なら分散が足せる
- 平均はいつでも足せる:\(E(X_1+\cdots+X_4)\)
\(\quad=E(X_1)+\cdots+E(X_4)\)。 - 独立なら分散が足せる:\(V(Y)=V(X_1)+\cdots+V(X_4)\)。標準偏差は足せない。
- 定数倍は \(E(aX)=aE(X)\)、\(\sigma(aX)=|a|\sigma(X)\)。
- \(B(n,\ p)\) の平均は \(np\)、分散は \(np(1-p)\)。
(1) Y の平均と標準偏差(アイウ〜オ)
\[E(Y)=51.0\times4=204\]
独立なので分散を足します。
\[V(Y)=0.3^2\times4=0.36\]
\[\sigma(Y)=\sqrt{0.36}=0.6\]
\(E(Y)=204\)(アイウ=204)、\(\sigma(Y)=0.6\)(エ.オ=0.6)
(1) Z = 4X の標準偏差(カ・キ)
\(E(Z)=4\times51.0=204\) は同じですが、標準偏差は4倍になります。
\[\sigma(Z)=4\times0.3=1.2\]
\(Y\) は4つの重さが独立にばらつくので、重いものと軽いものが打ち消し合い、広がりが \(Z\) の半分ですみます。
\(\sigma(Z)=1.2\)(カ.キ=1.2)
(2) 二項分布の平均と標準偏差(ク〜サ)
(参考:\(X_i\ge51.075\) は \(z=\dfrac{0.075}{0.3}=0.25\) 以上で、確率は \(0.5-0.0987\fallingdotseq0.4\)。)
\(B(24,\ 0.4)\) なので
\[\text{平均}=24\times0.4=9.6\]
\[\text{分散}=24\times0.4\times0.6=5.76\]
\[\text{標準偏差}=\sqrt{5.76}=2.4\]
平均 9.6(ク.ケ=9.6)、標準偏差 2.4(コ.サ=2.4)
(2) P(X ≧ 12)(シスセ)
\(a=9.6\)、\(b=2.4\) として標準化します。
\[\frac{12-9.6}{2.4}=\frac{2.4}{2.4}=1\]
\[P(X\ge12)=P(Z\ge1)\]
\[=0.5-0.3413=0.1587\]
小数第3位までで 0.159 です。
\(P(X\ge12)=0.159\)(シスセ=159)
(3) 信頼区間(ソ)
標本が大きい(100 袋)ので、母標準偏差の代わりに標本の標準偏差 0.6 を使います。
\[1.96\times\frac{0.6}{\sqrt{100}}=1.96\times0.06=0.1176\]
\[51-0.1176=50.88\ldots\]
\[51+0.1176=51.11\ldots\]
小数第2位を四捨五入して \([50.9,\ 51.1]\)。
(ソ=③)
つまずきポイント
- 標準偏差をそのまま足して \(0.3\times4=1.2\) とする。 独立な和は分散を足す。\(\sqrt{4\times0.09}=0.6\)。
- \(Y\) と \(Z=4X\) を同じものと思う。 平均は同じでも、1つを4倍すると標準偏差は4倍。
- 信頼区間で \(\sqrt{100}\) で割り忘れる。 標本平均の標準偏差は \(\dfrac{0.6}{10}=0.06\)。
要点まとめ
- \(E(Y)=204\)、\(\sigma(Y)=0.6\)。\(Z=4X\) は \(\sigma(Z)=1.2\)。
- \(B(24,\ 0.4)\) は平均 9.6、標準偏差 2.4。\(P(X\ge12)=P(Z\ge1)=0.159\)。
- \(51\pm1.96\times0.06\) → \([50.9,\ 51.1]\)(ソ=③)。