共テ数学ⅡBC 第5回【第3問】極値は余りの1次式で計算し、箱の容積の最大に使う ― 微分法

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

3次関数 \(f(x)=x(x-k)(x-2k)\) の極値を、導関数で調べます。 \(f(x)\) を \(f'(x)\) で割った余りは、極大・極小の2点を通る直線になり、極値の計算を軽くしてくれます。 後半の箱の容積 \(V\) は、実は前半の \(f(x)\) で \(k=5\) としたものの 8 倍。前半の結果がそのまま使えます。

この回で扱う問題

(1) \(k\) を正の定数とし、\(f(x)=x(x-k)(x-2k)\) とする。\(f'(x)\) と \(f'(x)=0\) の解を求め、極大となる \(x\) を答えよ。また、\(f(x)\) を \(f'(x)\) で割った余りを求めよ。

(2) 1辺が 20 cm の正方形の厚紙から、図のように四つの合同な長方形(短い辺 \(x\) cm、長い辺 \(y\) cm)を切り落とし、継ぎ目の部分が合わさるように折って直方体の箱を作る。\(y\) を \(x\) で表し、箱の容積 \(V\) を \(x\) で表して、\(V\) の最大値を求めよ。

方針 ― 余りの1次式で極値を計算する

  • 展開してから微分する。\(f'(x)=0\) は解の公式で解く。
  • \(x^3\) の係数が正なら、小さいほうの解で極大、大きいほうで極小。
  • \(f(x)=f'(x)Q(x)+R(x)\) なら、\(f'(\alpha)=0\) の点で \(f(\alpha)=R(\alpha)\)。
  • 箱は展開図から3辺を読み、\(V\) を \(x\) の3次式にする。

(1) 導関数と極値をとる x(ア〜キ)

展開すると \(f(x)=x^3-3kx^2+2k^2x\)。微分して

\[f'(x)=3x^2-6kx+2k^2\]

(ア=3、イ=6、ウ=2)

\(f'(x)=0\) を解の公式で解きます。

\[x=\frac{3k\pm\sqrt{9k^2-6k^2}}{3}\]

\[x=\frac{3\pm\sqrt{3}}{3}k\]

(エ=3、オ=3、カ=3)

xyO極大(x = α)極小(x = β)k2kαβ余り:y = −(2/3)k²x + (2/3)k³極大・極小の2点を通る直線(図は k = 1)
f(x) = x(x − k)(x − 2k) のグラフ(k = 1)。余りの直線は極大・極小の2点を通る

\(x^3\) の係数が正なので、\(f'(x)\) の符号は \(+\to-\to+\)。小さいほうの解 \(\alpha\) で極大、大きいほうの解 \(\beta\) で極小です。

\(x=\alpha\) で極大(キ=③)

(1) f(x) を f'(x) で割った余り(クケ〜シ)

割り算をすると、商は \(\dfrac{1}{3}x-\dfrac{1}{3}k\) で

\[f(x)=f'(x)\left(\frac{1}{3}x-\frac{1}{3}k\right)+R(x)\]

\[R(x)=-\frac{2}{3}k^2x+\frac{2}{3}k^3\]

(クケ=−2、コ=3、サ=2、シ=3)

\(f'(\alpha)=0\) なので \(f(\alpha)=R(\alpha)\)。3次式に無理数を入れる代わりに、1次式 \(R(x)\) に入れれば極値が出ます。図のように、直線 \(y=R(x)\) は極大・極小の2点を通ります。

(2) 展開図から y と V を読む(ス〜タチ)

yyx10−2x10−2x20−2x1辺 20 cm(図は x = 3)切り落とす長方形:x × y上下のふた 2 枚が合わさる→ x + x = y、y = 2x箱の3辺y = 2x、10 − 2x、20 − 2xV = 2x(10 − 2x)(20 − 2x) = 8x(x − 5)(x − 10)
展開図(x = 3 の例)。上下のふた2枚が合わさるので y = 2x

上下の端のふた(深さ \(x\))が2枚向かい合って合わさり、幅 \(y\) の面をふさぐので、\(x+x=y\)。

\[y=2x\]

(ス=2)

横の 20 cm は \(y+(\text{側面})+y+(\text{側面})\) なので、側面の幅は \(\dfrac{20-2y}{2}=10-2x\)。縦は上下で \(x\) ずつ使うので \(20-2x\)。箱の3辺は \(2x\)、\(10-2x\)、\(20-2x\) です。

\[V=2x(10-2x)(20-2x)\]

\[V=8x(x-5)(x-10)\]

(セ=8、ソ=5、タチ=10)

辺の長さが正なので \(0\lt x\lt 5\) です。

(2) V の最大値(ツテトナ〜ヌ)

\(x(x-5)(x-10)\) は、(1) の \(f(x)\) で \(k=5\) としたもの。つまり \(V=8f(x)\) です。(1) から、極大になるのは

\[x=\alpha=\frac{3-\sqrt{3}}{3}\cdot 5=5-\frac{5\sqrt{3}}{3}\]

で、\(0\lt \alpha\lt 5\) に入っています。

xVO5 − 5√3/32000√3/95定義域 0 < x < 5(10 − 2x > 0)x ≒ 2.11 で最大
定義域 0〜5 での V のグラフ。x = 5 − 5√3/3(約 2.11)で最大

極大値は余りの1次式に代入して求めます(\(k=5\))。

\[f(\alpha)=-\frac{50}{3}\alpha+\frac{250}{3}=\frac{50}{3}(5-\alpha)\]

\[=\frac{50}{3}\cdot\frac{5\sqrt{3}}{3}=\frac{250\sqrt{3}}{9}\]

\(V=8f(x)\) なので

\[V\ \text{の最大値}=\frac{2000\sqrt{3}}{9}\]

(ツテトナ=2000、ニ=3、ヌ=9)

つまずきポイント

  1. 極大と極小を取り違える。 \(x^3\) の係数が正なら、小さいほうの \(\alpha\) で極大。
  2. \(y=2x\) の理由を読み落とす。 深さ \(x\) のふたが2枚向かい合って、幅 \(y\) をちょうどふさぐ。
  3. 定義域を忘れる。 側面の幅 \(10-2x\gt 0\) から \(0\lt x\lt 5\)。もう一方の極値 \(x=5+\frac{5\sqrt{3}}{3}\) は範囲外。
  4. \(\alpha\) を3次式にそのまま代入して計算が重くなる。 余りの1次式に入れれば一行で済む。

要点まとめ

  1. \(f'(x)=3x^2-6kx+2k^2\)、\(f'(x)=0\) の解は \(x=\dfrac{3\pm\sqrt{3}}{3}k\)。小さいほうの \(\alpha\) で極大。
  2. \(f(x)\) を \(f'(x)\) で割った余り \(-\dfrac{2}{3}k^2x+\dfrac{2}{3}k^3\) は、極大・極小の2点を通る直線。
  3. 箱は \(y=2x\)、\(V=8x(x-5)(x-10)\)。これは \(k=5\) のときの \(8f(x)\)。最大値は \(\dfrac{2000\sqrt{3}}{9}\)。
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