
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
実数係数の方程式が虚数解 \(1-\sqrt{3}\,i\) をもてば、共役な \(1+\sqrt{3}\,i\) も解。 2つをまとめると実数係数の2次式 \(x^2-2x+4\) になり、3次式はこれで割り切れます。 後半の指数方程式は、\(t=2^x+2^{-x}\) とおいて2次方程式に直し、最後はグラフで4つの解の大小を確かめます。
この回で扱う問題
〔1〕\(a,\ b,\ c\) を実数の定数として、3次方程式 \(x^3+ax^2+bx+c=0\) …①、2次方程式 \(x^2+ax+2=0\) …② を考える。
(1) \(a=b=-1\)、\(c=-2\) のとき、①の解を求めよ。
(2) ①が \(x=1-\sqrt{3}\,i\) を解にもつとき、①の左辺を割り切る2次式を求め、商を \(x+k\)(\(k\) は実数)として \(a,\ b,\ c\) を \(k\) で表せ。さらに、①と②がただ一つの共通な解をもつとき、その解を求めよ。
〔2〕\(x\) の方程式 \(2^{2x+1}+2^{-2x+1}-13(2^x+2^{-x})+24=0\) を \(t=2^x+2^{-x}\) を用いて解き、四つの解の大小関係を答えよ。
方針 ― 共役はセット、指数は t でまとめる
- 3次方程式は、解を1つ見つけて因数分解する。
- 実数係数なら、虚数解の共役も解。2つの和と積から2次式を作る。
- 共通解は「①の解のうち、どれが②も満たすか」を1つずつ調べる。
- \(2^{2x}+2^{-2x}=t^2-2\) を使うと、①は \(t\) の2次方程式になる。
〔1〕(1) 3次方程式を解く(ア〜エ)
\(a=b=-1\)、\(c=-2\) のとき、①は
\[x^3-x^2-x-2=0\]
\(x=2\) を入れると \(8-4-2-2=0\) なので、\(x-2\) で割り切れます。
\[(x-2)(x^2+x+1)=0\]
\[x=2,\quad \frac{-1\pm\sqrt{3}\,i}{2}\]
(ア=2、イ=1、ウ=3、エ=2)
〔1〕(2) 共役な解で2次式を作る(オ〜ケ)
①は実数係数なので、\(1-\sqrt{3}\,i\) と共役な \(1+\sqrt{3}\,i\) も解です。この2つは
\[\text{和}=2,\qquad \text{積}=1+3=4\]
なので、2つを解とする2次方程式は \(x^2-2x+4=0\)。①の左辺はこれで割り切れます。
\[x^2-2x+4\]
(オ=2、カ=4)
商を \(x+k\) とおいて展開します。
\[(x^2-2x+4)(x+k)\]
\[=x^3+(k-2)x^2+(4-2k)x+4k\]
①の左辺と係数を比べて
\[a=k-2,\quad b=-2k+4,\quad c=4k\]
(キ=④、ク=①、ケ=⑨)
〔1〕(2) ただ一つの共通解(コ)
①の解は \(1\pm\sqrt{3}\,i\) と \(x=-k\) の3つ。②は \(x^2+(k-2)x+2=0\) です。
虚数解が共通の場合。 ②も実数係数なので、\(1-\sqrt{3}\,i\) が共通なら \(1+\sqrt{3}\,i\) も共通になり、共通解が2つになってしまいます。よって不適です。
\(x=-k\) が共通の場合。 ②に代入して
\[k^2-(k-2)k+2=0\]
\[2k+2=0\qquad k=-1\]
このとき②は \(x^2-3x+2=0\)、つまり \((x-1)(x-2)=0\)。①の解は \(1,\ 1\pm\sqrt{3}\,i\) なので、共通な解は \(x=1\) だけです。
\[x=1\]
(コ=1)
〔2〕t の2次方程式に直す(サ〜ス)
\(2^x\cdot 2^{-x}=1\) なので
\[t^2=2^{2x}+2+2^{-2x}\]
\[2^{2x}+2^{-2x}=t^2-2\]
(サ=2)
\(2^{2x+1}+2^{-2x+1}=2\left(2^{2x}+2^{-2x}\right)\) なので、①は
\[2(t^2-2)-13t+24=0\]
\[2t^2-13t+20=0\]
\[(2t-5)(t-4)=0\]
(シ=5、ス=4)
相加平均と相乗平均の関係から \(t\ge 2\)(等号は \(x=0\))。\(t=\dfrac{5}{2}\)、\(t=4\) はどちらも 2 以上なので、どちらも使えます。
〔2〕x に戻す(セ〜ツ)
\(t=\dfrac{5}{2}\) のとき。 \(X=2^x\ (\gt 0)\) とおくと \(X+\dfrac{1}{X}=\dfrac{5}{2}\)。
\[2X^2-5X+2=0\]
\[(2X-1)(X-2)=0\]
\(X=\dfrac{1}{2},\ 2\) なので
\[x=-1,\ 1\]
(セソ=−1、タ=1)
\(t=4\) のとき。 \(X+\dfrac{1}{X}=4\) から
\[X^2-4X+1=0\qquad X=2\pm\sqrt{3}\]
\(2-\sqrt{3}\gt 0\) なので、どちらも \(2^x\) の値になれます。
\[x=\log_2\left(2\pm\sqrt{3}\right)\]
(チ=2、ツ=3)
〔2〕四つの解の大小(テ)
\(t=2^x+2^{-x}\) のグラフは \(y\) 軸について対称で、\(x=0\) で最小値 2 をとる下に凸の形です。
直線 \(t=\dfrac{5}{2}\) との交点が \(x=\pm1\)、それより上の直線 \(t=4\) との交点が \(x=\log_2(2\pm\sqrt{3})\)。上の直線ほど交点は外側にくるので
\[\log_2(2-\sqrt{3})\lt -1\lt 1\]
\[1\lt \log_2(2+\sqrt{3})\]
数値でも、\(2-\sqrt{3}\fallingdotseq 0.27\lt \dfrac{1}{2}\)、\(2+\sqrt{3}\fallingdotseq 3.73\gt 2\) と確かめられます。
(テ=③)
つまずきポイント
- 共役な解を忘れる。 実数係数の方程式では、虚数解は共役とセット。和と積から2次式がすぐ作れる。
- 共通解に虚数解を選ぶ。 ②も実数係数なので、虚数解が共通なら共役も共通になり「ただ一つ」に反する。
- \(2^{2x+1}\) の「\(+1\)」を落とす。 \(2^{2x+1}=2\cdot 2^{2x}\)。係数 2 を忘れると \(t\) の方程式がずれる。
- \(t\ge 2\) の確認を省く。 この問題では両方使えるが、\(t\lt 2\) の解が出たら捨てる必要がある。
要点まとめ
- \(1-\sqrt{3}\,i\) が解なら \(1+\sqrt{3}\,i\) も解。和 2、積 4 で \(x^2-2x+4\)。商 \(x+k\) から \(a=k-2,\ b=-2k+4,\ c=4k\)。
- ただ一つの共通解は実数解 \(x=-k\) のほう。\(k=-1\) で \(x=1\)。
- \(t=2^x+2^{-x}\) で \((2t-5)(t-4)=0\)。解は \(\pm1\) と \(\log_2(2\pm\sqrt{3})\)、大小は外側から \(\log_2(2-\sqrt{3})\)、\(-1\)、\(1\)、\(\log_2(2+\sqrt{3})\) の順(③)。