
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
積分は計算力よりも型の見分けで決まります。ここで扱う3問は、 三角関数の奇数乗・分母の平方完成・部分積分という、 数学Ⅲの積分でいちばん出番の多い3つの型の代表です。
この回で扱う問題
次の定積分,不定積分を求めよ。
\[(13)\ \int\cos^{3}3x\,dx \qquad (9)\ \int_{2}^{3}\frac{dx}{x^{2}-2x+1} \qquad (21)\ \int(\log x)^{2}\,dx\]
まず「どこを見るか」
| 見るところ | 型 | 手 |
|---|---|---|
| 三角関数の奇数乗 | 置換 | 1つだけ外に出して \(t=\sin\) または \(t=\cos\) |
| 分母が2次式 | 平方完成 | 完全平方なら累乗の積分、残れば \(\tan\) 置換 |
| \(\log\) がある | 部分積分 | \((x)'\) を補って \(\log\) を微分する側に回す |
(13) \(\displaystyle\int\cos^{3}3x\,dx\)
三角関数の奇数乗を見たら、1つだけ外に出す。これが合図です。
\[\cos^{3}3x=\cos^{2}3x\cdot\cos 3x=(1-\sin^{2}3x)\cos 3x\]
こうすると、外に出した \(\cos 3x\,dx\) がちょうど \(t=\sin 3x\) の \(dt\) になります。
\[t=\sin 3x \ \Longrightarrow\ \frac{dt}{dx}=3\cos 3x,\qquad 3\cos 3x\,dx=dt\]
\[\int\cos^{3}3x\,dx=\frac{1}{3}\int(1-t^{2})\,dt=\frac{1}{3}t-\frac{1}{9}t^{3}+C\]
\[\int\cos^{3}3x\,dx=\frac{1}{3}\sin 3x-\frac{1}{9}\sin^{3}3x+C\]
置換せずに書く別解
\(\displaystyle\int\sin^{2}3x\cdot(\sin 3x)'dx=\frac{1}{3}\sin^{3}3x\) を使えば、置換の式変形を書かずに \(\displaystyle\int\cos 3x\,dx-\int\sin^{2}3x\cos 3x\,dx\) から同じ答えに着きます。 慣れたらこちらのほうが速いですが、まず置換で書けることが先です。
(9) \(\displaystyle\int_{2}^{3}\frac{dx}{x^{2}-2x+1}\)
分母が2次式のときは、因数分解できるか/平方完成して何が残るかを先に見ます。
\[x^{2}-2x+1=(x-1)^{2}\]
完全平方なので、部分分数分解も置換も要りません。\((x-1)^{-2}\) の積分そのものです。
\[\int_{2}^{3}\frac{dx}{(x-1)^{2}}=\Big[-(x-1)^{-1}\Big]_{2}^{3}=-\frac{1}{2}+1\]
\[\int_{2}^{3}\frac{dx}{x^{2}-2x+1}=\frac{1}{2}\]
となりの (8) と見比べてください。分母が \(x^{2}-2x+2\) だと平方完成しても \(1\) が残ります。
\[x^{2}-2x+2=(x-1)^{2}+1\]
この「\(1\) が残る」形は \(x-1=\tan\theta\) 置換の合図で、答えは \(\displaystyle\int_{1}^{2}\frac{dx}{x^{2}-2x+2}=\frac{\pi}{4}\) になります。 定数が 1 違うだけで、使う道具がまったく変わります。
(21) \(\displaystyle\int(\log x)^{2}\,dx\)
\(\log\) は微分すると簡単になる関数です。だから部分積分で微分する側に置きます。 そのために、見えていない \((x)'=1\) を補います。
\[\int(\log x)^{2}dx=\int (x)'(\log x)^{2}dx=x(\log x)^{2}-\int x\cdot 2\log x\cdot\frac{1}{x}\,dx\]
\[=x(\log x)^{2}-2\int\log x\,dx\]
残った \(\displaystyle\int\log x\,dx\) にも同じ手を使います。
\[\int\log x\,dx=\int(x)'\log x\,dx=x\log x-\int x\cdot\frac{1}{x}dx=x\log x-x\]
\[\int(\log x)^{2}dx=x(\log x)^{2}-2x\log x+2x+C\]
指数が \(2\) なので、部分積分は2回。\((\log x)^{n}\) なら \(n\) 回です。
つまずきポイント
- (13) で \(\cos^{2}\) を残したまま置換しようとする。 偶数乗しかない形(\(\int\cos^{2}3x\,dx\) など)は置換では進めません。 半角の公式で次数を下げる、別の型です。
- (13) の \(\frac{1}{3}\) を忘れる。 \(dt=3\cos 3x\,dx\) の \(3\) です。置換したら必ず \(dt\) を作り直す。
- (9) を部分分数分解しようとする。 \((x-1)^{2}\) は同じ因数の2乗なので \(\frac{A}{x-1}+\frac{B}{x-1}\) には分かれません。 分解が要るのは分母が異なる因数の積のときです。
- (21) で \((\log x)^{2}\) の微分を \(\frac{1}{x^{2}}\) としてしまう。 合成関数なので \(\left((\log x)^{2}\right)'=2\log x\cdot\frac{1}{x}\) です。
要点まとめ
- 三角関数の奇数乗は1つだけ外に出す。外に出した分が \(dt\) になる。
- 分母が2次式なら、まず平方完成。完全平方=累乗の積分、\(+\,\)定数が残る=\(\tan\) 置換。
- \(\log\) は微分する側へ。\((x)'\) を補って部分積分する。
この先につながること
- (9)(8) の見分けは、次の【79】分数型の6分類にそのまま接続します。
- (13) の「積を和に直す」発想は【80】で本格的に使います。
