
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
分数の積分は、先に分類してから手を動かすのが鉄則です。 この回は、分数型を6つに整理したうえで、3つの型が1問に同居する北海道大の問題を解きます。
この回で扱う問題(北海道大)
(1) \(\displaystyle\frac{3x-7}{(2x+1)(x^{2}+4)}=\frac{A}{2x+1}+\frac{Bx+C}{x^{2}+4}\) が成り立つように定数 \(A,\ B,\ C\) を定めよ。
(2) \(\displaystyle\int_{0}^{2}\frac{dx}{x^{2}+4}\) を求めよ。
(3) \(\displaystyle\int_{0}^{2}\left\{\frac{3x-7}{(2x+1)(x^{2}+4)}+xe^{x}\right\}dx\) を求めよ。
分数型の6分類
| 形 | 手 | |
|---|---|---|
| ① | (分子の次数)≧(分母の次数) | 帯分数化(割り算して整式+真分数に) |
| ② | 分母が異なる因数の積 | 部分分数分解(積 → 和・差) |
| ③ | 分子が分母の微分に近い | 置換(\(t=\)分母) |
| ④ | \(\sqrt{\ }\) を含む | 有理化、または \(\sqrt{\ }=t\) と置換 |
| ⑤ | \(\bigcirc^{2}-\square^{2}\) | \(\bigcirc=\square\sin\theta\) など三角置換 |
| ⑥ | \(\bigcirc^{2}+\square^{2}\) | \(\bigcirc=\square\tan\theta\) と置換 |
この問題は ② と ⑥、それに部分積分が1問の中で混ざります。 「どこが②で、どこが⑥か」を先に切り分けるのが山場です。
(1) 部分分数分解 ― 恒等式に持ち込む
両辺に \((2x+1)(x^{2}+4)\) を掛けて、分母を払います。
\[3x-7=A(x^{2}+4)+(Bx+C)(2x+1)\]
右辺を \(x\) について整理します。
\[3x-7=(A+2B)x^{2}+(B+2C)x+(4A+C)\]
これが\(x\) についての恒等式になる条件は、各次数の係数が一致することです。
\[A+2B=0,\qquad B+2C=3,\qquad 4A+C=-7\]
第1式から \(A=-2B\)。これを第3式に入れて \(-8B+C=-7\)。第2式 \(B=3-2C\) と連立して解くと
\[A=-2,\qquad B=1,\qquad C=1\]
(2) \(\displaystyle\int_{0}^{2}\frac{dx}{x^{2}+4}\) ― ⑥の型
分母が \(x^{2}+2^{2}\)。因数分解できない \(\bigcirc^{2}+\square^{2}\) なので \(x=2\tan\theta\) と置きます。
\[\frac{dx}{d\theta}=\frac{2}{\cos^{2}\theta},\qquad \begin{array}{c|ccc} x & 0 & \to & 2\\\hline \theta & 0 & \to & \frac{\pi}{4}\end{array}\]
\[\int_{0}^{2}\frac{dx}{x^{2}+4} =\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\frac{1}{4(\tan^{2}\theta+1)}\cdot\frac{2}{\cos^{2}\theta}\,d\theta =\frac{1}{2}\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}d\theta\]
ここで \(\tan^{2}\theta+1=\dfrac{1}{\cos^{2}\theta}\) が効いて、被積分関数が定数になります。
\[\int_{0}^{2}\frac{dx}{x^{2}+4}=\frac{\pi}{8}\]
(3) 分けて、それぞれの型で処理する
(1) の結果を代入すると
\[\frac{3x-7}{(2x+1)(x^{2}+4)}=-\frac{2}{2x+1}+\frac{x+1}{x^{2}+4} =-\frac{2}{2x+1}+\frac{x}{x^{2}+4}+\frac{1}{x^{2}+4}\]
\(\dfrac{x+1}{x^{2}+4}\) をさらに2つに割るのがポイントです。 前半は③(分子が分母の微分の定数倍)、後半が(2)そのものになります。
\[\int_{0}^{2}\frac{2}{2x+1}dx=\Big[\log|2x+1|\Big]_{0}^{2}=\log 5\]
\[\int_{0}^{2}\frac{x}{x^{2}+4}dx=\frac{1}{2}\Big[\log(x^{2}+4)\Big]_{0}^{2} =\frac{1}{2}(\log 8-\log 4)=\frac{1}{2}\log 2\]
残る \(xe^{x}\) は部分積分です。
\[\int_{0}^{2}xe^{x}dx=\Big[xe^{x}\Big]_{0}^{2}-\int_{0}^{2}e^{x}dx=2e^{2}-(e^{2}-1)=e^{2}+1\]
\[\int_{0}^{2}\left\{\frac{3x-7}{(2x+1)(x^{2}+4)}+xe^{x}\right\}dx =\frac{1}{2}\log 2-\log 5+\frac{\pi}{8}+e^{2}+1\]
つまずきポイント
- 分子を \(\frac{B}{x^{2}+4}\) と置いてしまう。 分母が2次なら分子は1次、つまり \(Bx+C\) を置きます。次数を1つ下げる、が決まりです。
- \(\frac{x+1}{x^{2}+4}\) を1つのまま扱おうとする。 \(\frac{x}{x^{2}+4}\)(対数になる)と \(\frac{1}{x^{2}+4}\)(\(\tan\) 置換)は別の型です。必ず割ってください。
- \(\int\frac{2}{2x+1}dx=2\log|2x+1|\) としてしまう。 中身の微分 \((2x+1)'=2\) で割る必要があり、正しくは \(\log|2x+1|\) です。
- 置換したのに積分区間を変えない。 \(x:0\to2\) は \(\theta:0\to\frac{\pi}{4}\) です。対応表を必ず書いてください。
要点まとめ
- 分数はまず6分類のどれかを決める。手を動かすのはそのあと。
- 部分分数分解は恒等式。分母を払って係数比較に持ち込む。
- \(\bigcirc^{2}+\square^{2}\) は \(\tan\) 置換。\(\tan^{2}\theta+1=\frac{1}{\cos^{2}\theta}\) で一気に片づく。
- 1つの分数でも、型が違えば割って別々に積分する。
