
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
この問題は、数学Ⅲの微分・積分の王道の流れそのものです。 (1) 微分できますか、(2) 増減が判定できますか、(3) 部分積分できますか、 (4) \(\pi\int_0^\pi(x\sin x)^2dx\) の部分積分を2回できますか。順に確かめていきます。
この回で扱う問題
関数 \(f(x)=x\sin x\) について、次の問いに答えよ。
(1) 第1次導関数 \(f'(x)\) および第2次導関数 \(f''(x)\) を求めよ。
(2) \(f(x)\) は \(x=0\) で極小値をもつことを示せ。
(3) \(y=f(x)\) のグラフの \(0\le x\le\pi\) の部分と \(x\) 軸で囲まれた部分を \(D\) とする。\(D\) の面積を求めよ。
(4) \(D\) を \(x\) 軸のまわりに1回転してできる回転体の体積を求めよ。
(福島大)
(1) 積の微分
\[f'(x)=\sin x+x\cos x\]
\[f''(x)=\cos x+(\cos x-x\sin x)=2\cos x-x\sin x\]
(2) x = 0 で極小
\(f'(0)=0+0=0\)、\(f''(0)=2-0=2\gt 0\)。
\(f'(0)=0\) かつ \(f''(0)\gt 0\) なので、\(f(x)\) は \(x=0\) で極小値をもちます。
※ 第2次導関数を使わずに示すこともできます。\(-\frac{\pi}{2}\lt x\lt 0\) では \(\sin x\lt 0,\ x\cos x\lt 0\) なので \(f'(x)\lt 0\)、 \(0\lt x\lt \frac{\pi}{2}\) では \(f'(x)\gt 0\)。\(x=0\) の前後で \(f'(x)\) が負から正に変わります。
(3) D の面積
\(0\le x\le\pi\) では \(x\ge 0,\ \sin x\ge 0\) なので \(f(x)\ge 0\)。面積はそのまま積分です。部分積分で
\[\int_0^\pi x\sin x\,dx=\Big[-x\cos x\Big]_0^\pi+\int_0^\pi\cos x\,dx\]
\[=\pi+\Big[\sin x\Big]_0^\pi=\pi\]
面積は \(\ \pi\)
(4) 回転体の体積 ― 部分積分を2回
\[V=\pi\int_0^\pi(x\sin x)^2dx=\pi\int_0^\pi x^2\sin^2x\,dx\]
\(\sin^2x\) は半角の公式で次数を下げます:\(\sin^2x=\dfrac{1-\cos2x}{2}\)。
\[V=\frac{\pi}{2}\left(\int_0^\pi x^2dx-\int_0^\pi x^2\cos2x\,dx\right)\]
前の積分は \(\dfrac{\pi^3}{3}\)。後ろの積分は部分積分を2回行います。
\[\int_0^\pi x^2\cos2x\,dx=\left[\frac{x^2\sin2x}{2}\right]_0^\pi-\int_0^\pi x\sin2x\,dx\]
1つ目の \([\ ]\) は \(0\)。残りをもう一度部分積分すると
\[\int_0^\pi x\sin2x\,dx=\left[-\frac{x\cos2x}{2}\right]_0^\pi+\int_0^\pi\frac{\cos2x}{2}dx\]
\[=-\frac{\pi}{2}+0=-\frac{\pi}{2}\]
よって \(\displaystyle\int_0^\pi x^2\cos2x\,dx=\frac{\pi}{2}\)。
\[V=\frac{\pi}{2}\left(\frac{\pi^3}{3}-\frac{\pi}{2}\right)\]
\[V=\frac{\pi^2}{2}\left(\frac{\pi^2}{3}-\frac12\right)=\frac{\pi^4}{6}-\frac{\pi^2}{4}\]
つまずきポイント
- \(f''(x)\) で \(x\cos x\) の微分を落とす。 \((x\cos x)'=\cos x-x\sin x\)。積の微分は2項です。
- \(\sin^2x\) のまま部分積分しようとする。 先に半角の公式で \(\cos2x\) にすると、部分積分の回数が読めます。
- \(\int\cos2x\,dx\) を \(\sin2x\) と書く。 \(\frac12\sin2x\) です。係数の \(\frac12\) が積み重なるので丁寧に。
- 符号の取り違え。 部分積分を2回すると、マイナスが2回出てきます。1回ごとに式を書きましょう。
要点まとめ
- 王道の流れ:微分 → 増減(極値)→ 面積 → 体積。
- \(f'(a)=0,\ f''(a)\gt 0\) なら \(x=a\) で極小。
- \(x\sin x\) の積分は部分積分、\(x^2\sin^2x\) は半角の公式 → 部分積分2回。
