共テ数学ⅡBC 第4回【第5問】得点は標準化して比べ、標本平均の分散は人数で割る ― 統計的な推測

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

満点も平均もちらばりも違う科目の得点は、そのままでは比べられません。 \(Z=\dfrac{X-m}{\sigma}\) と標準化すれば、どの科目も「平均から標準偏差いくつ分か」で比べられます。 後半は、標本平均の分散が \(\dfrac{\sigma^2}{n}\) になることを、独立な確率変数の分散の和から確かめます。

この回で扱う問題

〔1〕太郎さんの得点は 数学Ⅰ・A 78点、数学Ⅱ・B・C 70点、英語 135点。受験生の得点はそれぞれ正規分布に従い、平均と標準偏差は順に(65点, 15点)、(60点, 5点)、(110点, 25点)である。

78点を標準化した値と、78点以上の人の割合を求めよ。数学Ⅱ・B・Cの70点は数学Ⅰ・Aでは何点に相当するか。3つの得点を標準化したとき、最も大きいもの・最も小さいものはどれか。

〔2〕理系生徒1600人、文系生徒2000人を無作為抽出した。英語の得点の母標準偏差は理系20点、文系25点。標本平均 \(\overline{X}\)、\(\overline{Y}\) の分散を比べよ。

方針 ― 標準化して「標準偏差いくつ分か」で比べる

  • \(Z=\dfrac{X-m}{\sigma}\) で標準化。割合は正規分布表で \(0.5-p(z)\)。
  • 別の科目の何点に相当するかは、同じ \(z\) になる点数を逆算する。
  • 標本平均の分散は、独立なら \(V(\overline{X})=\dfrac{1}{n^2}\cdot n\sigma^2=\dfrac{\sigma^2}{n}\)。

〔1〕数学Ⅰ・A の 78 点(アイ・ウエオ)

\[z=\frac{78-65}{15}=\frac{13}{15}=0.866\cdots\]

\[z\fallingdotseq 0.87\]

(アイ=87)

正規分布表で \(p(0.87)=0.3078\)(\(0\le Z\le 0.87\) の面積)。78点以上は \(Z\ge 0.87\) の部分なので

\[P(Z\ge 0.87)=0.5-0.3078=0.1922\]

約 19.2%

(ウエ=19、オ=2)

〔1〕70 点は数学Ⅰ・A で何点か(カキ)

数学Ⅱ・B・C の 70 点を標準化すると

\[z=\frac{70-60}{5}=2\]

数学Ⅰ・A で \(z=2\) になる点数は、平均より標準偏差2つ分上です。

\[65+2\times 15=95\ \text{点}\]

(カキ=95)

〔1〕3つの科目を比べる(ク・ケ)

英語は \(z=\dfrac{135-110}{25}=1\)。

0数学Ⅰ・A z ≒ 0.87英語 z = 1数学Ⅱ・B・C z = 278 点以上(黄):0.5 − 0.3078 = 0.1922
3科目の z を同じ標準正規分布の上に並べる。右にあるほど相対的によい得点
科目標準化した値
数学Ⅰ・A\(0.87\)(最小)
数学Ⅱ・B・C\(2\)(最大)
英語\(1\)

最も大きいのは数学Ⅱ・B・C、最も小さいのは数学Ⅰ・A

(ク=①、ケ=⓪)

素点では 78点の数学Ⅰ・A が一番高く見えますが、標準化すると一番低くなります。

〔2〕標本平均の分散(コサシス・セソ・タ)

\(\overline{X}=\dfrac{X_1+X_2+\cdots+X_{1600}}{1600}\)。定数倍の分散は2乗倍、独立な確率変数の和の分散は分散の和なので

\[V(\overline{X})\]

\[=\frac{1}{1600^2}\left\{V(X_1)+\cdots+V(X_{1600})\right\}\]

(コサシス=1600)

どの \(V(X_k)\) も母分散 \(20^2=400\) なので

\[V(\overline{X})=\frac{1600\times 400}{1600^2}=\frac{400}{1600}=0.25\]

(セソ=25)

文系も同じように \(V(\overline{Y})=\dfrac{25^2}{2000}=\dfrac{625}{2000}=0.3125\)。

\[V(\overline{X})\lt V(\overline{Y})\]

(タ=⓪)

人数は文系の方が多いのですが、母標準偏差 25 が大きく効いて、標本平均の分散は文系の方が大きくなります。

つまずきポイント

  1. 素点や満点との比で比べる。 平均と標準偏差が違えば、点数の大小は当てにならない。必ず標準化する。
  2. 表の値をそのまま割合にする。 表の \(p(0.87)=0.3078\) は \(0\) から \(0.87\) の面積。「以上」は \(0.5\) から引く。
  3. \(V(\overline{X})\) を \(\dfrac{\sigma^2}{n^2}\) や \(\dfrac{\sigma}{n}\) にする。 \(\dfrac{1}{n^2}\) が掛かるのは和全体で、和の分散は \(n\sigma^2\)。結果は \(\dfrac{\sigma^2}{n}\)。
  4. 人数だけで大小を決める。 \(\dfrac{\sigma^2}{n}\) は母分散と人数の両方で決まる。

要点まとめ

  1. \(Z=\dfrac{X-m}{\sigma}\)。78点は \(z\fallingdotseq0.87\)、78点以上は約 19.2%。
  2. 同じ \(z\) の点数が「相当する点」。数学Ⅱ・B・Cの70点(\(z=2\))は数学Ⅰ・Aの95点。最大は数学Ⅱ・B・C、最小は数学Ⅰ・A。
  3. \(V(\overline{X})=\dfrac{\sigma^2}{n}\)。\(\dfrac{400}{1600}=0.25\lt \dfrac{625}{2000}=0.3125\)。
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