数学Ⅲα【112】計算できる積分ではさむ ― 1/(1+x⁴) の評価

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

\(\displaystyle\int_{0}^{1}\frac{1}{1+x^{4}}dx\) は、そのままでは計算できません。 そこで計算できる積分ではさむ。 その「計算できる積分」を先に作らせるのが (1) です。

この回で扱う問題(静岡大)

(1) 定積分 \(\displaystyle\int_{0}^{1}\frac{1}{1+x^{2}}dx\) の値を求めよ。

(2) 不等式 \(\displaystyle\frac{\pi}{4}<\int_{0}^{1}\frac{1}{1+x^{4}}dx<1\) が成り立つことを示せ。

(1) ○² + □² は tan 置換

分母が \(1^{2}+x^{2}\)。因数分解できない2乗の和なので \(x=\tan\theta\) と置きます。

\[\frac{dx}{d\theta}=\frac{1}{\cos^{2}\theta},\qquad \begin{array}{c|ccc} x & 0 & \to & 1\\\hline \theta & 0 & \to & \frac{\pi}{4}\end{array}\]

\(1+\tan^{2}\theta=\dfrac{1}{\cos^{2}\theta}\) が効いて、被積分関数が \(1\) になります。

\[\int_{0}^{1}\frac{dx}{1+x^{2}} =\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}\cos^{2}\theta\cdot\frac{1}{\cos^{2}\theta}d\theta =\int_{0}^{\frac{\pi}{4}}d\theta\]

\[\int_{0}^{1}\frac{1}{1+x^{2}}dx=\frac{\pi}{4}\]

(2) 被積分関数ではさむ

(1) で \(\dfrac{\pi}{4}\) が出たということは、 \(\dfrac{1}{1+x^{2}}\) を下の押さえに使えということです。 上の押さえは、右辺が \(1\) なので \(\displaystyle\int_{0}^{1}1\,dx=1\)。

そこで \(0\le x\le 1\) で次を示します。

\[\frac{1}{1+x^{2}}\le\frac{1}{1+x^{4}}\le 1\]

作り方は「中身」から

\(0\le x\le 1\) のとき \(x^{4}\le x^{2}\)(1以下の数は、掛けるほど小さくなる)。

\[0\le x^{4}\le x^{2}\]

各辺に \(1\) を足して

\[1\le 1+x^{4}\le 1+x^{2}\]

各辺は正なので、逆数をとると向きが変わります

\[\frac{1}{1+x^{2}}\le\frac{1}{1+x^{4}}\le 1\]

積分すると等号が外れる

この不等式で等号が成り立つのは \(x=0\) と \(x=1\) だけで、つねには成り立ちません。 だから \(\displaystyle\int_{0}^{1}\) をつけると \(\le\) が \(<\) に変わります

\[\int_{0}^{1}\frac{dx}{1+x^{2}}<\int_{0}^{1}\frac{dx}{1+x^{4}}<\int_{0}^{1}dx\]

左は (1) より \(\dfrac{\pi}{4}\)、右は \(1\)。

\[\frac{\pi}{4}<\int_{0}^{1}\frac{1}{1+x^{4}}dx<1\]

つまずきポイント

  1. (1) の答えを「ただの計算問題」で終わらせる。 誘導つきの不等式では、(1) の値がそのまま(2)の端になります。 「\(\frac{\pi}{4}\) が出たから \(\frac{1}{1+x^{2}}\) を使う」と読めるかが勝負です。
  2. 逆数をとるとき向きを変え忘れる。 各辺が正であることを確認したうえで \(\le\) を反転させます。
  3. \(\le\) のまま結論する。 問題の主張は \(<\)。等号がつねには成り立たないことを必ず書いてください。
  4. \(\frac{1}{1+x^{4}}\) を自力で積分しようとする。 できなくはありませんが高校範囲を超えます。はさむのが出題意図です。

要点まとめ

  1. \(\bigcirc^{2}+\square^{2}\) は \(\tan\) 置換。\(1+\tan^{2}\theta=\frac{1}{\cos^{2}\theta}\)。
  2. 積分できない式は、計算できる式ではさむ
  3. 不等式は中身から順に作る:\(x^{4}\le x^{2}\) → \(+1\) → 逆数。
  4. 各辺を積分すると、等号がつねに成り立つのでないかぎり \(\le\) は \(<\) になる。
板書 【112】(1) tan 置換 →(2) はさんで評価
板書 【112】(1) tan 置換 →(2) はさんで評価
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