共テ数学ⅡBC 第12回【第4問】和 Sₙ は引き算で消して階差数列にし、式が使える n を確かめる ― 数列

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

和 \(S_n\) が入った漸化式は、\(a_n=S_n-S_{n-1}\) で \(S_n\) を消すと、\(a_n\) だけの関係(ここでは階差数列)になります。 ただし、この式は \(n\ge 2\) でしか使えません。どの式を、どの \(n\) から使ったかを最後に確かめるのが、この問題の山場です。

この回で扱う問題

数列 \(\{a_n\}\) の初項から第 \(n\) 項までの和を \(S_n\) とする。数列 \(\{a_n\}\) は

\(a_1=1,\quad a_{n+1}=\dfrac{1}{n+1}\left(\dfrac1n-1+S_n\right)\)
\(\quad(n=1,2,3,\cdots)\) …①

を満たしている。

\(S_1=\) ア より、\(n=1\) を①に代入すると \(a_2=\dfrac{\fbox{イ}}{\fbox{ウ}}\)、\(S_2=\dfrac{\fbox{エ}}{\fbox{オ}}\)。

\(n\ge 2\) のとき \(a_n=S_n-S_{n-1}=\)(カ)\(a_{n+1}-\)(キ)\(a_n+\)(ク)。これを変形すると \(a_{n+1}-a_n=\)(ケ)…②。

カ・キ:⓪ \(n-1\) ① \(n\) ② \(n+1\) ③ \(n+2\)
ク:⓪ \(\dfrac1{n-1}-\dfrac1n\) ① \(\dfrac1n-\dfrac1{n-1}\) ② \(\dfrac1n-\dfrac1{n+1}\) ③ \(\dfrac1{n+1}-\dfrac1n\)
ケ:⓪ \(\dfrac1n\left(\dfrac1n-\dfrac1{n+1}\right)\) ① \(\dfrac1n\left(\dfrac1{n+1}-\dfrac1n\right)\)
② \(\dfrac1{n+1}\left(\dfrac1{n-1}-\dfrac1n\right)\) ③ \(\dfrac1{n+1}\left(\dfrac1n-\dfrac1{n-1}\right)\)

②を利用して一般項を求める。\(n\ge 3\) のとき \(a_n=a_2+\displaystyle\sum_{k=\fbox{サ}}^{\fbox{コ}}(a_{k+1}-a_k)\)。

\(\dfrac{1}{k(k+2)}=\dfrac12\left(\dfrac1k-\dfrac1{k+2}\right)\) であるから
\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k(k+2)}\)
\(\quad=\dfrac{1}{\fbox{シ}}\left(\dfrac{\fbox{ス}}{\fbox{セ}}-\dfrac1{n+1}-\dfrac1{n+2}\right)\)。

これより、\(n\ge 3\) のとき \(a_n=\dfrac{1}{\fbox{シ}}\left(\dfrac{\fbox{ソ}}{\fbox{タ}}-\dfrac{1}{\fbox{チ}}+\dfrac{1}{\fbox{ツ}}\right)\) …③(コ・チ・ツは ⓪ \(n-1\) ① \(n\) ② \(n+1\) ③ \(n+2\) から選ぶ)。

一般項③は テ。①と③から得られる数列 \(\{S_n\}\) の一般項は ト。
⓪ すべての自然数 \(n\) について成り立つ ① \(n\ge 2\) のときは成り立つが、\(n=1\) のときは成り立たない ② \(n\ge 3\) のときは成り立つが、\(n=1,\ 2\) のときは成り立たない

方針 ― S を消して、範囲を確かめる

  • ①を \(S_n\) について解く:\(S_n=(n+1)a_{n+1}-\dfrac1n+1\)。
  • \(n\) を \(n-1\) にずらした式と引くと \(S_n\) が消える。ただし \(S_{n-1}\) が必要なので \(n\ge 2\)。
  • 階差数列の和 \(\displaystyle\sum_{k=2}^{n-1}\) は \(n\ge 3\) でないと項が無い。最後に \(n=1,\ 2\) を代入して確かめる。

最初の項(ア〜オ)

\(S_1=a_1=1\)。①に \(n=1\) を入れると

\[a_2=\frac12\left(1-1+S_1\right)=\frac12\]

\(S_2=a_1+a_2=1+\dfrac12=\dfrac32\) です。

\(S_1=1\)(ア=1)、\(a_2=\dfrac12\)(イ=1、ウ=2)、\(S_2=\dfrac32\)(エ=3、オ=2)

S を消す(カ〜ケ)

①の両辺に \(n+1\) を掛けて \(S_n\) について整理すると

\[S_n=(n+1)a_{n+1}-\frac1n+1\quad\cdots④\]

\(n\ge 2\) なら、④の \(n\) を \(n-1\) にした式 \(S_{n-1}=na_n-\dfrac1{n-1}+1\) も使えます。引き算すると

\[a_n=S_n-S_{n-1}\]

\[=(n+1)a_{n+1}-na_n+\frac1{n-1}-\frac1n\]

\(na_n\) を左辺に移すと \((n+1)a_n\) になり、両辺を \(n+1\) で割ると

\[a_{n+1}-a_n=\frac{1}{n+1}\left(\frac1n-\frac1{n-1}\right)\]

カ=②、キ=①、ク=⓪、ケ=③(②は \(n\ge 2\) で成り立つ)

階差数列で一般項を求める(コ〜ツ)

②は \(n\ge 2\) から使えるので、和は \(k=2\) から始めます。\(n\ge 3\) のとき

\[a_n=a_2+\sum_{k=2}^{n-1}(a_{k+1}-a_k)\]

(コ=⓪、サ=2)。中身を分けると

\[\frac{1}{k+1}\left(\frac1k-\frac1{k-1}\right)\]

\[=\frac{1}{k(k+1)}-\frac{1}{(k-1)(k+1)}\]

前半は \(\dfrac1k-\dfrac1{k+1}\) に分けて足すと、間が消えて

\[\sum_{k=2}^{n-1}\frac{1}{k(k+1)}=\frac12-\frac1n\]

後半は、\(l=k-1\) とおくと \(\displaystyle\sum_{l=1}^{n-2}\frac{1}{l(l+2)}\) の形です。部分分数に分けて足すと、消えずに残るのは最初の2つと最後の2つです。

\[\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k(k+2)}\]

\[=\frac12\left(\frac32-\frac1{n+1}-\frac1{n+2}\right)\]

(シ=2、ス=3、セ=2)。\(n\) を \(n-2\) にすれば

\[\sum_{l=1}^{n-2}\frac{1}{l(l+2)}\]

\[=\frac12\left(\frac32-\frac1{n-1}-\frac1n\right)\]

以上から

\[a_n=\frac12+\frac12-\frac1n\]

\[\quad-\frac12\left(\frac32-\frac1{n-1}-\frac1n\right)\]

\[=\frac12\left(\frac12-\frac1n+\frac1{n-1}\right)\]

\(a_n=\dfrac12\left(\dfrac12-\dfrac1n+\dfrac1{n-1}\right)\)(ソ=1、タ=2、チ=①、ツ=⓪)

式が成り立つ範囲(テ・ト)

③は \(n\ge 3\) で導きましたが、\(n=2\) を代入すると \(\dfrac12\left(\dfrac12-\dfrac12+1\right)=\dfrac12=a_2\) で一致します。\(n=1\) は \(\dfrac1{n-1}\) の分母が 0 になり、式そのものが意味をもちません。

\(S_n\) は④ \(S_n=(n+1)a_{n+1}-\dfrac1n+1\) で求めます。ここに出てくるのは \(a_{n+1}\)(添字が2以上)だけで、③は \(n\ge 2\) で正しいので、\(S_n\) の式は \(n=1\) から使えます。

\[S_n=\frac{n+1}{4}+1-\frac{1}{2n}\]

実際 \(n=1\) で \(\dfrac12+1-\dfrac12=1=S_1\) です。

n=1n=2n=3n=4n=5n=6① Sₙ = (n+1)aₙ₊₁ − 1/n + 1n ≧ 1aₙ = Sₙ − Sₙ₋₁ → ②n ≧ 2aₙ = a₂ + Σ (k=2〜n−1)n ≧ 3③ の式(n=2 は代入して一致)n ≧ 2Sₙ の式(aₙ₊₁ だけ使う)n ≧ 1式を作った範囲を、最後にもう一度確かめる(テ = ①、ト = ⓪)
それぞれの式が使える n の範囲。③は n ≧ 2、Sₙ の式は n ≧ 1

③は \(n\ge 2\) で成り立つ(テ=①)、\(S_n\) はすべての自然数で成り立つ(ト=⓪)

つまずきポイント

  1. \(a_n=S_n-S_{n-1}\) を \(n=1\) でも使う。 \(S_0\) は無いので \(n\ge 2\) のときだけ。
  2. 階差数列の和を \(k=1\) から始める。 ②は \(n\ge 2\) でしか成り立たないので、\(a_2\) から \(k=2\) で足す。
  3. ③を「\(n\ge 3\) で導いたから②」とする。 \(n=2\) は代入すれば一致する。導いた範囲と成り立つ範囲は別。

要点まとめ

  1. \(S_n\) を含む漸化式は \(a_n=S_n-S_{n-1}\)(\(n\ge 2\))で \(S_n\) を消す。
  2. \(a_{n+1}-a_n=\dfrac{1}{n+1}\left(\dfrac1n-\dfrac1{n-1}\right)\) を部分分数に分けて足す。
  3. \(a_n=\dfrac12\left(\dfrac12-\dfrac1n+\dfrac1{n-1}\right)\) は \(n\ge 2\)(テ=①)、\(S_n\) は全ての \(n\)(ト=⓪)。
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