
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
点 \((x,\,y)\) が領域の上を動くときの最大・最小は、式を \(k\) とおいて直線や円を動かすと見えてきます。 直線なら、最後にふれるのは領域の頂点。格子点に限ると頂点が使えないので、その近くを調べます。 後半の3次関数は、極値と区間の端を比べる問題です。
この回で扱う問題
〔1〕連立不等式 \(x\ge 0,\ y\ge 0,\ x+3y\le 18,\ 7x+y\le 36\) の表す領域を \(D\) とする。\(D\) は四角形 OABC の周および内部である。
点 B の座標、\(x+y\) の範囲、\(3x+y\) と \((x-3)^2+(y-2)^2\) の最大値、\(D\) に含まれる格子点の個数、格子点に限ったときの \(3x+y\) と \(\dfrac{y-6}{x-6}\) の最大値を求めよ。
〔2〕\(a\gt 1\) とする。\(f(x)=\dfrac{1}{3}x^3-(a+2)x^2+3(2a+1)x\) の極値と、\(1\le x\le 6\) における最大値・最小値を調べよ。
方針 ― 式を「直線」「円」と見る
- 頂点 A, B, C を求める。
- \(x+y=k\)、\(3x+y=p\) は傾きが一定の直線。\(D\) とふれる範囲で動かす。
- \((x-3)^2+(y-2)^2=q\) は中心 \((3,\,2)\) の円。一番遠い点で最大。
- 格子点は \(x\) ごとに縦に数える。
- 〔2〕は \(f'(x)\) を因数分解し、極値と区間の端の値を比べる。
頂点 B(ア〜エ)
A は \(7x+y=36\) と \(x\) 軸の交点で \(A\left(\dfrac{36}{7},\,0\right)\)。C は \(x+3y=18\) と \(y\) 軸の交点で \(C(0,\,6)\)。
B は2直線の交点です。\(x=18-3y\) を \(7x+y=36\) に代入して
\[126-20y=36\]
\(y=\dfrac{9}{2}\)、\(x=18-\dfrac{27}{2}=\dfrac{9}{2}\)。
\[B\left(\frac{9}{2},\,\frac{9}{2}\right)\]
(ア=9、イ=2、ウ=9、エ=2)
(1) \(x+y\) の範囲(オ・カ)
\(x+y=k\) は傾き \(-1\) の直線で、\(k\) は \(y\) 切片です。
境界の傾きは、辺 CB が \(-\dfrac{1}{3}\)、辺 BA が \(-7\)。傾き \(-1\) はこの間にあるので、直線を右上へ動かしたとき最後にふれるのは B です。
最小は O で \(k=0\)、最大は B で \(k=\dfrac{9}{2}+\dfrac{9}{2}=9\)。
\[0\le k\le 9\]
(オ=0、カ=9)
(2)(i) \(3x+y\) の最大(キ・クケ)
\(3x+y=p\) は傾き \(-3\) の直線。これも \(-\dfrac{1}{3}\) と \(-7\) の間なので、最大は B です。
\[p=3\cdot\frac{9}{2}+\frac{9}{2}=18\]
B は直線 \(x+3y=18\) と \(7x+y=36\) の交点です。
(キ=⑤、クケ=18)
確かめ:頂点での値は O で 0、A で \(\dfrac{108}{7}\approx 15.4\)、B で 18、C で 6。
(2)(ii) \((x-3)^2+(y-2)^2\) の最大(コ・サシ)
\((x-3)^2+(y-2)^2=q\) は、中心 \((3,\,2)\)、半径 \(\sqrt{q}\) の円です。\(q\) が最大になるのは、中心から一番遠い \(D\) の点。凸な四角形なので、それは頂点のどれかです。
| 頂点 | O | A | B | C |
|---|---|---|---|---|
| \(q\) | 13 | \(\dfrac{421}{49}\approx 8.6\) | 8.5 | 25 |
C は直線 \(x=0\) と \(x+3y=18\) の交点です。
\[q=(0-3)^2+(6-2)^2=25\]
(コ=①、サシ=25)
(3) 格子点の個数(スセ・ソ)
\(x\) を固定して、\(y\) が何個とれるかを数えます。
| \(x\) | 条件 | \(y\) | 個数 |
|---|---|---|---|
| 0 | \(3y\le 18\) | 0〜6 | 7 |
| 1 | \(3y\le 17\) | 0〜5 | 6 |
| 2 | \(3y\le 16\) | 0〜5 | 6 |
| 3 | \(3y\le 15\) | 0〜5 | 6 |
| 4 | \(3y\le 14\) | 0〜4 | 5 |
| 5 | \(y\le 1\) | 0〜1 | 2 |
\(x=5\) では \(7x+y\le 36\) の方がきびしく \(y\le 1\)。\(x=6\) は \(7\cdot 6\gt 36\) で入りません。
\[7+6+6+6+5+2=32\]
(スセ=32)
\(x+y=6\) を満たすのは \((0,6),(1,5),(2,4),(3,3),(4,2),(5,1)\)。\((6,0)\) は \(D\) の外です。
(ソ=6)
(4)(i) 格子点での \(3x+y\) の最大(タチ・ツ)
B は格子点ではないので、\(p=18\) はとれません。傾き \(-3\) の直線を B から下げていき、最初にふれる格子点を探します。
\(3x+y=17\) 上の格子点 \((5,2),(4,5)\) などは \(D\) の外。\(3x+y=16\) では \((4,4)\) と \((5,1)\) が \(D\) に入ります。
\[3x+y\ \text{の最大値}=16\]
(タチ=16、ツ=2)
(4)(ii) \(\dfrac{y-6}{x-6}\) の最大(テ)
\(\dfrac{y-6}{x-6}=s\) は、点 \((6,\,6)\) と点 \((x,\,y)\) を結ぶ直線の傾きです。
\(D\) の格子点はすべて \(x\le 5\) にあるので、傾きは \(\dfrac{6-y}{6-x}\)。分子を大きく、分母を小さくしたいので、\(x=5\) の列で \(y\) が小さい点を見ます。
\((5,0)\) で \(\dfrac{6}{1}=6\)、\((5,1)\) で 5、\((4,0)\) で 3。
\[\frac{y-6}{x-6}\ \text{の最大値}=6\]
(テ=6)
〔2〕\(f'(x)\) を因数分解(ト〜ヌ)
\[f'(x)=x^2-2(a+2)x+3(2a+1)\]
\[f'(3)=9-6(a+2)+3(2a+1)=0\]
(ト=0)
\(x=3\) で 0 になるので、\(x-3\) でくくれます。定数項が \(3(2a+1)\) なので
\[f'(x)=(x-3)\{x-(2a+1)\}\]
(ナ=3、ニ=2、ヌ=1)
〔2〕極大と極小(ネ〜フ)
\(a\gt 1\) より \(2a+1\gt 3\)。\(f'(x)\) の符号は \(+,\ -,\ +\) と変わるので、\(x=3\) で極大、\(x=2a+1\) で極小です。
(ネ=①)
極小値は、\(b=2a+1\) とおくと \(f(b)=\dfrac{b^3}{3}-(a+2)b^2+3b\cdot b\) なので
\[f(b)=b^2\left(\frac{b}{3}-a+1\right)\]
\[=b^2\cdot\frac{4-a}{3}\]
\[f(2a+1)=-\frac{1}{3}(2a+1)^2(a-4)\]
(ノ=3、ハ=2、ヒ=1、フ=4)
〔2〕最大値が \(f(6)\) になる条件(ヘ)
\(1\le x\le 6\) での最大の候補は、極大値 \(f(3)\) と右端 \(f(6)\) です。
\[f(3)=9-9(a+2)+9(2a+1)=9a\]
\[f(6)=72-36(a+2)+18(2a+1)=18\]
\(f(6)\) が最大になるのは \(9a\le 18\)、つまり \(a\le 2\)。
\[1\lt a\le 2\]
(ヘ=①)
〔2〕そのときの最小値(ホ)
\(1\lt a\le 2\) なら \(3\lt 2a+1\le 5\) で、極小の位置は区間の中です。最小の候補は左端 \(f(1)\) と極小値 \(f(2a+1)\)。
\[f(1)=\frac{1}{3}-(a+2)+3(2a+1)=5a+\frac{4}{3}\]
差をとって整理すると
\[f(1)-f(2a+1)=\frac{4}{3}a^2(a-3)\]
\(a\le 2\) なので \(a-3\lt 0\)、よって \(f(1)\lt f(2a+1)\)。
最小値は \(f(1)\)
(ホ=⓪)
確かめ:\(a=2\) で \(f(1)=\dfrac{34}{3}\approx 11.3\)、\(f(5)=-\dfrac{1}{3}\cdot 25\cdot(-2)=\dfrac{50}{3}\approx 16.7\)。\(f(1)\) の方が小さい。
つまずきポイント
- 頂点を決めつける。 直線の傾きが境界の傾き \(-\dfrac{1}{3}\)、\(-7\) のどこにあるかで、最後にふれる頂点が変わる。
- 円の最大を「一番近い点」と取りちがえる。 \(q\) の最大は中心から一番遠い点。頂点ごとに2乗の和を計算すれば確実。
- 格子点の問題で B を使う。 \(B\left(\dfrac{9}{2},\dfrac{9}{2}\right)\) は格子点ではない。\(3x+y=17,\ 16,\ \dots\) と下げて確かめる。
- \(x=5\) の列の数えまちがい。 \(x=5\) では \(7x+y\le 36\) の方が効いて \(y\le 1\)。
- 区間の端を忘れる。 3次関数の最大・最小は、極値だけでなく \(f(1)\)、\(f(6)\) と比べる。
要点まとめ
- 式を \(k\) とおくと直線・円。直線の最大は、傾きを境界と比べて決まる頂点で起こる。
- \(0\le x+y\le 9\)、\(3x+y\) の最大は B で 18、\((x-3)^2+(y-2)^2\) の最大は C で 25。
- 格子点は \(x\) ごとに縦に数えて 32 個。格子点での \(3x+y\) の最大は 16(2個)、\(\dfrac{y-6}{x-6}\) の最大は 6。
- \(f'(x)=(x-3)\{x-(2a+1)\}\)。最大は \(f(3)=9a\) と \(f(6)=18\)、最小は \(f(1)\) と極小値を比べる。