数学Ⅲα【137】z+1/zが実数の条件は共役・極形式・a+biの3通りで

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

\(z+\dfrac1z\) が実数になる \(z\) は、実数か \(|z|=1\) のどちらかです。 「実数 ⇔ 共役と等しい」で式を作る方法、極形式でおく方法、\(z=a+bi\) とおく方法の3通りで確かめます。 どの方法でも、最後は「積が 0」の形に持ちこむのがポイントです。

この回で扱う問題

\(z\) を \(z\ne 0\) である複素数とする。\(z+\dfrac1z\) が実数であるための必要十分条件は、\(z\) が実数であるか \(|z|=1\) であることを示せ。

(改 津田塾大)

方針 ― 3通りの道具

  • (解1)\(w\) が実数 \(\iff w=\overline{w}\)。共役をとった式を作り、\(z\overline{z}=|z|^2\) を使う。
  • (解2)極形式 \(z=r(\cos\theta+i\sin\theta)\) とおき、虚部 \(=0\)。
  • (解3)\(z=a+bi\) とおき、分母を実数化して虚部 \(=0\)。
虚軸O実軸z1/z = zz + 1/zz + 1/z が実数① z が実数(実軸、0 は除く)② |z| = 1(単位円)|z| = 1 なら 1/z = z→ z + z = 2 × 実部 で実数
z + 1/z が実数になる z は、実軸上(0 を除く)か単位円上。単位円上なら 1/z は z の共役

(解1)実数 ⇔ 共役と等しい

\(z+\dfrac1z\) が実数となるのは

\[z+\frac1z=\overline{z+\frac1z}=\overline{z}+\frac1{\overline{z}}\]

のときです。両辺に \(z\overline{z}=|z|^2\ (\ne 0)\) をかけると

\[|z|^2z+\overline{z}=|z|^2\overline{z}+z\]

すべて左辺に移して、\(|z|^2\) のある項とない項でまとめます。

\[|z|^2(z-\overline{z})-(z-\overline{z})=0\]

\[(z-\overline{z})\left(|z|^2-1\right)=0\]

よって \(z=\overline{z}\)(\(z\) は実数)または \(|z|^2=1\)、つまり \(|z|=1\)。式変形はすべて同値なので、必要十分条件になっています。

(解2)極形式でおく

\(z=r(\cos\theta+i\sin\theta)\ (r\gt 0)\) とおくと、\(\dfrac1z=\dfrac1r\{\cos(-\theta)+i\sin(-\theta)\}\) です。

\[z+\frac1z=\left(r+\frac1r\right)\cos\theta+i\left(r-\frac1r\right)\sin\theta\]

これが実数になるのは、虚部が 0 のとき。

\[\left(r-\frac1r\right)\sin\theta=0\]

  • \(r-\dfrac1r=0\) なら \(r^2=1\)、\(r\gt 0\) より \(r=1\)。つまり \(|z|=1\)。
  • \(\sin\theta=0\) なら \(z=r\cos\theta\)。つまり \(z\) は実数。

(解3)z = a + bi とおく

\(z=a+bi\)(\(a,\ b\) は実数で、同時には 0 でない)とおきます。分母を実数化すると

\[\frac1{a+bi}=\frac{a-bi}{a^2+b^2}\]

なので、\(z+\dfrac1z\) の虚部は

\[b-\frac{b}{a^2+b^2}=\frac{a^2b+b^3-b}{a^2+b^2}\]

実数になるのは、この分子が 0 のときです。

\[b\left(a^2+b^2-1\right)=0\]

  • \(b=0\) なら \(z\) は実数。
  • \(a^2+b^2=1\) なら \(|z|=1\)。

つまずきポイント

  1. 「実数 ⇔ \(w=\overline{w}\)」の共役を一部だけにつける。 \(\overline{\left(\frac1z\right)}=\frac1{\overline{z}}\) まで、和の全体にかける。
  2. \(z-\overline{z}\) で割ってしまう。 割ると「\(z\) が実数」の場合が消える。くくり出して積 \(=0\) にする。
  3. 極形式で \(\dfrac1z\) の偏角を \(\theta\) のままにする。 絶対値は \(\dfrac1r\)、偏角は \(-\theta\)。
  4. 「必要十分」を片方向だけ示す。 同値変形 \(\iff\) でつなげば、両方向が一度に言える。

要点まとめ

  1. \(w\) が実数 \(\iff w=\overline{w}\)。分母を払うときは \(z\overline{z}=|z|^2\)。
  2. 極形式なら \(\dfrac1z=\dfrac1r\{\cos(-\theta)+i\sin(-\theta)\}\)。虚部 \(=0\) で考える。
  3. どの解き方も、最後は「積 \(=0\)」:\((z-\overline{z})(|z|^2-1)=0\)。
  4. \(|z|=1\) のときは \(\dfrac1z=\overline{z}\) なので、\(z+\dfrac1z=z+\overline{z}\) は実数。
板書 【137】z+1/z が実数 ⇔ z が実数 または |z|=1(解1・解2・解3)
板書 【137】z+1/z が実数 ⇔ z が実数 または |z|=1(解1・解2・解3)
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