共テ数学ⅡBC 第2回【第4問】等差と等比の積の和は3倍して引く ― 数列

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

等差数列と等比数列の積 \(a_kb_k\) の和は、そのままでは足せません。 そこで公比を掛けた式を作って、ずらして引く。すると等比数列の和だけが残ります。 この回は、その「3倍して引く」型を空欄でたどり、後半は同じ形を \(c_kd_k\) の和に使います。

この回で扱う問題

(1) 第3項が5、第9項が17の等差数列を \(\{a_n\}\)、公比が3で初項から第4項までの和が40の等比数列を \(\{b_n\}\) とする。\(S_n=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}a_kb_k\) を求めよ。

(2) 数列 \(\{c_n\}\) の初項から第 \(n\) 項までの和が \(n^2+4n\)、\(d_n=3^{n-1}+n\) のとき、\(c_n\) と \(T_n=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}c_kd_k\) を求めよ。

方針 ― 公比を掛けて、ずらして引く

  • まず \(a_n\)、\(b_1\) を求める。
  • \(S_n\) と \(3S_n\)(公比3を掛けたもの)を、項の番号をそろえて書く。
  • 引くと、等差数列の公差 × 等比数列の和が残り、\(S_n\) が出る。
  • (2) は \(c_k\) を \(a_k\) に似せて分け、(1) の \(S_n\) を使う。

(1) \(a_n\) と \(b_1\)(ア・イ・ウ)

\(a_3=5,\ a_9=17\) より、公差は \(\dfrac{17-5}{9-3}=2\)。

\[a_n=5+2(n-3)=2n-1\]

(ア=2、イ=1)

等比数列は公比3、初項 \(b_1\) で、初項から第4項までの和が40。

\[b_1(1+3+9+27)=40\]

\[40b_1=40\ \Longrightarrow\ b_1=1\]

(ウ=1)

よって \(b_n=3^{n-1}\)、\(a_nb_n=(2n-1)\cdot 3^{n-1}\) です。

(1) \(S_n\) と \(3S_n\) を並べる(エ・オ・カ)

\(S_n\) は、最初の1項を残して \(k=2\) から \(n\) まで。番号を1つずらして \(k=1\) から \(n-1\) までの和に書き直します。

\[S_n=a_1b_1+\sum_{k=1}^{n-1}a_{k+1}b_{k+1}\qquad\cdots\cdots ①\]

(エ=④)

一方、\(3b_k=b_{k+1}\) なので \(3a_kb_k=a_kb_{k+1}\)。最後の1項 \(k=n\) を外に出して

\[3S_n=\sum_{k=1}^{n-1}a_kb_{k+1}+a_nb_{n+1}\qquad\cdots\cdots ②\]

(オ=③、カ=③)

ここで ① の \(a_{k+1}b_{k+1}\) と ② の \(a_kb_{k+1}\) は、\(b_{k+1}\) がそろっているので、引くと差が \(a_{k+1}-a_k\)(公差)で消えます。

(1) ①−② を計算する(キ・ク・ケ・コ)

Sₙ3Sₙ==a₁b₁a₂b₂a₃b₃…aₙbₙa₁b₂a₂b₃…aₙ₋₁bₙaₙbₙ₊₁a₂−a₁ = 2a₃−a₂ = 2…Sₙ − 3Sₙ = a₁b₁ + 2(3 + 3² + … + 3ⁿ⁻¹) − aₙbₙ₊₁b(k+1) がそろった項どうしを引くと、公差 2 × 等比数列の和になる
S_n と 3S_n を、b(k+1) がそろうようにずらして引く

①−② を計算します。\(a_1b_1=1\)、\(a_{k+1}-a_k=2\)、\(b_{k+1}=3^k\) なので

\[S_n-3S_n=1+\sum_{k=1}^{n-1}2\cdot 3^k-a_nb_{n+1}\]

等比数列の和は \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}3^k=\frac{3(3^{n-1}-1)}{3-1}=\frac{3^n-3}{2}\)。また \(a_nb_{n+1}=(2n-1)\cdot 3^n\)。

\[-2S_n=1+(3^n-3)-(2n-1)\cdot 3^n\]

\[=-2+(2-2n)\cdot 3^n\]

両辺を \(-2\) で割ると

\[S_n=(n-1)\cdot 3^n+1\]

(キ=1、ク=3、ケ=①、コ=1)

確かめ:\(n=1\) で \(S_1=0+1=1=a_1b_1\)。\(n=2\) で \(S_2=9+1=10\)、直接 \(1+3\cdot 3=10\)。一致します。

(2) \(c_n\)(サ・シ)

和が \(n^2+4n\) なので、\(n\ge 2\) のとき、和の差をとって

\[c_n=(n^2+4n)-\{(n-1)^2+4(n-1)\}\]

\[=2n+3\]

\(n=1\) のとき \(c_1=5\) で、この式に合います。

\[c_n=2n+3\]

(サ=2、シ=3)

(2) \(T_n\) を \(S_n\) で表す(ス〜タ)

\(c_kd_k=(2k+3)(3^{k-1}+k)\) を、\(a_kb_k=(2k-1)\cdot 3^{k-1}\) に似せて分けます。

\[(2k+3)\cdot 3^{k-1}=(2k-1)\cdot 3^{k-1}+4\cdot 3^{k-1}\]

\[(2k+3)\cdot k=2k^2+3k\]

よって

\[T_n=S_n+\sum_{k=1}^{n}4\cdot 3^{k-1}+\sum_{k=1}^{n}\left(2k^2+3k\right)\]

(ス=4、セ=3、ソ=2、タ=3)

(2) \(T_n\) を計算する(チ〜ノ)

等比の部分は \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}4\cdot 3^{k-1}=4\cdot\frac{3^n-1}{2}=2\cdot 3^n-2\)。

\(k\) の2次式の部分は

\[2\cdot\frac{n(n+1)(2n+1)}{6}+3\cdot\frac{n(n+1)}{2}\]

\[=\frac{n(n+1)(4n+11)}{6}\]

(1) の \(S_n=(n-1)\cdot 3^n+1\) とあわせて

\[T_n=\left\{(n-1)\cdot 3^n+1\right\}+\left(2\cdot 3^n-2\right)\]

\[\qquad+\frac{n(n+1)(4n+11)}{6}\]

\[T_n=(n+1)\cdot 3^n\]

\[\qquad+\frac{n(n+1)(4n+11)}{6}-1\]

(チ=1、ツ=3、テ=1、ト=6、ナ=1、ニ=4、ヌネ=11、ノ=1)

確かめ:\(n=1\) で \(T_1=c_1d_1=5\cdot 2=10\)。式は \(2\cdot 3+\dfrac{1\cdot 2\cdot 15}{6}-1=6+5-1=10\)。一致します。

つまずきポイント

  1. \(S_n\) の \(\sum\) の番号が合わない。 \(k=2\) から \(n\) までを、\(k=1\) から \(n-1\) へずらすと、中身は \(a_{k+1}b_{k+1}\)。番号を直さずに \(a_kb_k\) のままにしない。
  2. 最後の1項を忘れる。 \(3S_n\) は \(k=1\) から \(n\) までの和。\(\sum\) を \(n-1\) までにそろえるとき、\(k=n\) の項 \(a_nb_{n+1}\) を外に出し忘れやすい。
  3. 等比数列の和の項数。 \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}3^k\) は初項3、項数 \(n-1\)。\(\dfrac{3(3^{n-1}-1)}{2}\) であって、\(\dfrac{3^{n}-1}{2}\) ではない。
  4. \(c_1\) の確認。 \(c_n=S_n-S_{n-1}\) は \(n\ge 2\) の式。\(c_1=S_1=5\) がその式に合うことを確かめてから「一般項」とする。
  5. \(n=1\) の検算。 最終式は \(n=1\)(と \(n=2\))を代入して、直接の値と比べると、符号や係数の取りちがいがすぐ見つかる。

要点まとめ

  1. 等差 × 等比の和 \(S_n\) は、公比を掛けた \(3S_n\) とずらして引く。
  2. ずらすときは番号と最後の1項に注意。引くと公差の項と等比数列の和になる。答えは \(S_n=(n-1)3^n+1\)。
  3. \(c_n=S_n-S_{n-1}\)(\(n\ge 2\))。\(c_1\) の確認を忘れない。
  4. \(c_kd_k\) の和は、\(a_kb_k\) の形と残りの和に分けて、(1) の結果を使う。
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