
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
30日ごとに「前回の水量の5%が蒸発し、\(t\,\mathrm{m^3}\) を流し入れる」。この変化は \(a_{n+1}=\dfrac{19}{20}a_n+t\) という漸化式で書けます。両辺から \(20t\) を引くと等比数列になり、 水量は \(20t\) に近づいていきます。合計の計算も、あふれない条件も、この一般項から読みます。
この回で扱う問題
容量 \(520\,\mathrm{m^3}\) の池泉に、30日ごとに一定量 \(t\,\mathrm{m^3}\)(\(t\) は自然数)の水を流し入れ、流し入れ終わった段階で水量を確認する。30日間で前回確認した水量の 5% が蒸発する。1回目の水量は \(500\,\mathrm{m^3}\)、\(n\) 回目の水量を \(a_n\,\mathrm{m^3}\) とする。
(1) \(t=15\) のとき \(a_2\) を求めよ。(2) \(a_{n+1}\) を \(a_n\) で表し、一般項 \(a_n\) を求めよ。
(3) 1回目の確認の後から \((n+1)\) 回目の確認までに、流し入れた水量の合計と蒸発した水量の合計 \(S\) を求め、両者が等しくなる \(t\) を求めよ。
(4) 12回だけ確認するとき、水があふれ出さないような \(t\) の最大値を求めよ。
方針 ― 「95% 残って t 足す」を漸化式に
- 30日で 5% 蒸発するので、残るのは前回の \(\dfrac{19}{20}\)。そこに \(t\) を足す。
- \(a_{n+1}=pa_n+q\) 型は、\(\alpha=p\alpha+q\) の解 \(\alpha\) を引いて等比数列にする。
- 蒸発した量は、各回の水量の \(\dfrac{1}{20}\) の合計。等比数列の和の公式を使う。
- あふれないかどうかは、水量が増えていく場合の最後の回で判定する。
(1) \(t=15\) のときの \(a_2\)(アイウ)
1回目の \(500\,\mathrm{m^3}\) のうち 5% が蒸発し、\(15\,\mathrm{m^3}\) を流し入れます。
\[a_2=500\times\frac{95}{100}+15=475+15\]
\[a_2=490\]
(アイウ=490)
(2) 漸化式と一般項(エ〜ソ)
\(n\) 回目に確認した水量 \(a_n\) の 5% が蒸発し、残りは \(\dfrac{19}{20}a_n\)。ここに \(t\) を流し入れたものが \(a_{n+1}\) です。
\[a_{n+1}=\frac{19}{20}a_n+t\]
(エオ=19、カキ=20)
\(\alpha=\dfrac{19}{20}\alpha+t\) を解くと \(\alpha=20t\)。漸化式から \(20t=\dfrac{19}{20}\cdot 20t+t\) を引くと
\[a_{n+1}-20t=\frac{19}{20}\left(a_n-20t\right)\]
数列 \(\{a_n-20t\}\) は、初項 \(a_1-20t=500-20t\)、公比 \(\dfrac{19}{20}\) の等比数列です。
\[a_n=(500-20t)\left(\frac{19}{20}\right)^{n-1}+20t\]
(クケコ=500、サシ=20、ス=⓪、セソ=20)
\(\left(\dfrac{19}{20}\right)^{n-1}\) は 0 に近づくので、水量は \(20t\) に近づいていきます。
(3) 流し入れた量と蒸発した量(タ〜ノ)
流し入れた量。 1回目の確認の後、2回目、3回目、…、\((n+1)\) 回目の確認の前に1回ずつ、合わせて \(n\) 回流し入れます。
\[nt\ \mathrm{m^3}\]
(タ=①)
蒸発した量。 \(k\) 回目の確認から次の確認までに \(\dfrac{1}{20}a_k\) が蒸発します。\(k=1,\,2,\,\dots,\,n\) を足して
\[S=\frac{1}{20}(a_1+a_2+\cdots+a_n)\]
(チ=1、ツテ=20、ト=①)
一般項を足します。等比数列の部分は、公比 \(\dfrac{19}{20}\)、項数 \(n\) の和です。
\[a_1+\cdots+a_n\]
\[=(500-20t)\cdot\frac{1-\left(\frac{19}{20}\right)^n}{1-\frac{19}{20}}\]
\[\qquad+20t\cdot n\]
\(1-\dfrac{19}{20}=\dfrac{1}{20}\) で割ると 20 倍になり、全体に \(\dfrac{1}{20}\) を掛けると
\[S=(500-20t)\left\{1-\left(\frac{19}{20}\right)^n\right\}+nt\]
(ナ=1、ニ=①、ヌ=①)
流し入れた量 \(nt\) と \(S\) が等しいのは
\[(500-20t)\left\{1-\left(\frac{19}{20}\right)^n\right\}=0\]
\(n\ge 2\) では \(\left(\dfrac{19}{20}\right)^n\ne 1\) なので \(500-20t=0\)。
\[t=25\]
(ネノ=25)
\(t=25\) なら \(a_n=500\) のまま変わりません。入った量と出た量が同じなので、水量が動かないということです。
(4) あふれない \(t\) の最大値(ハヒ)
\(t\le 25\) なら \(500-20t\ge 0\) で、水量は \(500\) 以下のままなので、あふれません。
\(t\gt 25\) なら \(500-20t\lt 0\) で、\(\left(\dfrac{19}{20}\right)^{n-1}\) が小さくなるほど \(a_n\) は増えていきます。確認は12回だけなので、一番多いのは \(a_{12}\) です。表1から \(\left(\dfrac{19}{20}\right)^{11}=0.57\) として
\[a_{12}=(500-20t)\times 0.57+20t\]
\[=285+8.6t\]
\[285+8.6t\le 520\]
\[t\le\frac{235}{8.6}=27.3\cdots\]
\[t=27\]
(ハヒ=27)
念のため、\(t=27\) なら \(a_{12}=540-40\times 0.57=517.2\)、\(t=28\) なら \(a_{12}=560-60\times0.57=525.8\) で 520 を超えます。
つまずきポイント
- 蒸発を「t を足した後」の量で考える。 蒸発するのは「前回確認した水量」の 5%。\(a_{n+1}=\dfrac{19}{20}a_n+t\) の順番を守る。
- 流し入れた回数を \(n+1\) 回と数える。 1回目の確認の後から数えるので、2回目〜\((n+1)\) 回目の前の \(n\) 回。
- \(S\) の項数を \(n+1\) にする。 蒸発は \(a_1\) から \(a_n\) までの \(n\) 個分。\(a_{n+1}\) の後の蒸発はまだ起きていない。
- あふれる判定を \(a_1\) や極限 \(20t\) で行う。 12回だけなので、増えていく場合の最後 \(a_{12}\) で判定する。
要点まとめ
- 「5% 減って \(t\) 足す」は \(a_{n+1}=\dfrac{19}{20}a_n+t\)。\(20t\) を引いて等比数列にすると \(a_n=(500-20t)\left(\dfrac{19}{20}\right)^{n-1}+20t\)。
- 流し入れた量は \(nt\)、蒸発した量は \(S=(500-20t)\left\{1-\left(\dfrac{19}{20}\right)^n\right\}+nt\)。等しいのは \(t=25\)(水量が一定)。
- \(t\gt 25\) なら水量は増え続ける。12回なら \(a_{12}\le 520\) から \(t\) の最大は 27。