
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
\(\displaystyle\int_k^{k+1}\frac{1}{\sqrt{x}}dx\) は曲線の下の面積。 となりに縦 \(\frac{1}{\sqrt{k+1}}\) と縦 \(\frac{1}{\sqrt{k}}\) の長方形を置けば、 内の長方形 < 曲線 < 外の長方形で不等式ができます。 それを足し合わせると、計算できない和 \(1+\frac{1}{\sqrt2}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{100}}\) の整数部分が決まります。
この回で扱う問題
\(k\) は正の整数とする。\(\displaystyle I_k=\int_k^{k+1}\frac{1}{\sqrt{x}}dx\) について、次の問いに答えよ。
(1) \(\displaystyle S_n=\sum_{k=1}^{n}I_k\) とする。\(S_1,\ S_2,\ S_3\) を求めよ。
(2) 不等式 \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{k+1}}\lt I_k\lt \frac{1}{\sqrt{k}}\) が成り立つことを示せ。
(3) \(\displaystyle 1+\frac{1}{\sqrt2}+\frac{1}{\sqrt3}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{100}}\) の整数部分を求めよ。
(富山県立大)
方針 ― 定積分は面積、和は長方形の面積
- (1) となり合う区間の積分は1本につながる。
- (2) \(\frac{1}{\sqrt{k}}\) は「縦 \(\frac{1}{\sqrt{k}}\)・横 \(1\)」の長方形の面積と読む。
- (3) (2) を \(k\) について足し、計算できる積分ではさむ。
(1) 区間をつなげる
\(S_n=I_1+I_2+\cdots+I_n\) は、区間 \([1,2],\ [2,3],\ \cdots\) をつなげた積分です。
\[S_n=\int_1^{n+1}\frac{1}{\sqrt{x}}dx=\Big[2\sqrt{x}\Big]_1^{n+1}=2\left(\sqrt{n+1}-1\right)\]
\(S_1=2(\sqrt2-1)\)
\(S_2=2(\sqrt3-1)\)
\(S_3=2(\sqrt4-1)=2\)
(2) 長方形と見比べる
\(y=\frac{1}{\sqrt{x}}\) は減少関数です。\(k\le x\le k+1\) のとき
\[\frac{1}{\sqrt{k+1}}\le\frac{1}{\sqrt{x}}\le\frac{1}{\sqrt{k}}\]
等号はつねには成り立たないので、\(k\) から \(k+1\) まで積分すると
\[\int_k^{k+1}\frac{dx}{\sqrt{k+1}}\lt \int_k^{k+1}\frac{dx}{\sqrt{x}}\lt \int_k^{k+1}\frac{dx}{\sqrt{k}}\]
左右は定数の積分(横の長さ \(1\))なので
\[\frac{1}{\sqrt{k+1}}\lt I_k\lt \frac{1}{\sqrt{k}}\]
(3) 2つの不等式を別々に使う
(2) の不等式は2つの向きに使えます。
上からおさえる:\(\frac{1}{\sqrt{k+1}}\lt I_k\)
\(k=1,\ 2,\ \cdots,\ 99\) として足すと
\[\frac{1}{\sqrt2}+\frac{1}{\sqrt3}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{100}}\lt \int_1^{100}\frac{dx}{\sqrt{x}}\]
\[\int_1^{100}\frac{dx}{\sqrt{x}}=\Big[2\sqrt{x}\Big]_1^{100}=2(10-1)=18\]
両辺に \(1\) を足して
\[1+\frac{1}{\sqrt2}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{100}}\lt 19\]
下からおさえる:\(I_k\lt \frac{1}{\sqrt{k}}\)
\(k=1,\ 2,\ \cdots,\ 99\) として足すと
\[18=\int_1^{100}\frac{dx}{\sqrt{x}}\lt 1+\frac{1}{\sqrt2}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{99}}\]
両辺に \(\frac{1}{\sqrt{100}}=\frac{1}{10}\) を足して
\[18+\frac{1}{10}\lt 1+\frac{1}{\sqrt2}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{100}}\]
2つを合わせると
\[18+\frac{1}{10}\lt 1+\frac{1}{\sqrt2}+\cdots+\frac{1}{\sqrt{100}}\lt 19\]
整数部分は \(\ 18\)
※ \(k=1\) から \(100\) まで足して \(\int_1^{101}\) と比べる方法もあります。どちらも「足す範囲」と「積分区間」をそろえるのがポイントです。
つまずきポイント
- \(\int \frac{1}{\sqrt{x}}dx\) を \(\sqrt{x}\) と書く。 \(x^{-\frac12}\) の積分は \(2x^{\frac12}=2\sqrt{x}\) です。
- 等号のまま積分する。 不等号 \(\lt \) にできるのは「つねには等号が成り立たない」から。一言書きましょう。
- 足す範囲を何も考えずに \(1\) から \(100\) にする。 上からおさえるときは \(\frac{1}{\sqrt{2}}\) から、下からおさえるときは \(\frac{1}{\sqrt{99}}\) まで。欲しい和のどの部分が出てくるかを先に見ます。
- 最後に足し残した項を忘れる。 上は \(1\)、下は \(\frac{1}{10}\) を足して、はじめて目的の和になります。
要点まとめ
- 定積分は面積、\(\frac{1}{\sqrt{k}}\) は横1の長方形の面積と読む。
- 減少関数なら 内の長方形 < 曲線 < 外の長方形。
- 足し合わせると区間がつながり、計算できる積分ではさめる。
- 上下で足す範囲を変え、足し残しを最後に加える。
