数学Ⅲβ【12】最大・最小は軸と範囲の左右 ― 相加相乗で仕上げる

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

2次関数の最大・最小は、結局「軸」と「範囲の左右の端」の3か所しか候補がない。 この問題は、軸の位置が \(1\) より右と決まるので、最大はいつでも左端。 最小だけ、軸が範囲に入るかどうかで場合分けします。 そして最後は \(a+\dfrac{1}{a}\)、つまり逆数の和 → 相加相乗です。

この回で扱う問題(神戸大)

実数 \(a,\ b\) に対して \(f(x)=a(x-b)^{2}\) とおく。ただし \(a\) は正とする。 放物線 \(y=f(x)\) が直線 \(y=-4x+4\) に接している。

(1) \(b\) を \(a\) を用いて表せ。

(2) \(0\le x\le 2\) において、\(f(x)\) の最大値 \(M(a)\) と最小値 \(m(a)\) を求めよ。

(3) \(a\) が正の実数を動くとき、\(M(a)\) の最小値を求めよ。

(1) 「接する」は判別式 \(D=0\)

放物線と直線が接する条件は、連立した2次方程式が重解をもつこと。まず \(y\) を消します。

\[a(x-b)^{2}=-4x+4\]

\[ax^{2}-2(ab-2)x+ab^{2}-4=0\quad\cdots\cdots ①\]

\(a\neq 0\) なので①は2次方程式。判別式を \(D\) として \(D=0\)。

\[\frac{D}{4}=(ab-2)^{2}-a(ab^{2}-4)=0\]

展開すると \(a^{2}b^{2}\) が消えて、ぐっと軽くなります。

\[a^{2}b^{2}-4ab+4-a^{2}b^{2}+4a=0\quad\Longrightarrow\quad -4ab+4a+4=0\]

\[b=1+\frac{1}{a}\]

ここで手が止まる人は、\((ab-2)^{2}\) を展開してから \(-a(ab^{2}-4)\) を足すところで 4次の項が消えるのを見逃しています。消える項があるときは、だいたいそこが設計です。

(2) 軸の位置を先に押さえる

(1) より

\[f(x)=a\left\{x-\left(1+\frac{1}{a}\right)\right\}^{2}\]

つまり軸は \(x=1+\dfrac{1}{a}\)。\(a>0\) だから \(\dfrac{1}{a}>0\)、したがって

\[\text{軸}=1+\frac{1}{a}>1\]

これが効きます。範囲 \(0\le x\le 2\) のまん中は \(x=1\)。 軸がそれより右にあるのだから、軸から遠いのはいつでも左端 \(x=0\) です。

軸M(a)m(a)02a ≧ 1 軸が範囲の中最小は軸のところ m(a) = 0軸M(a)m(a)020 < a < 1 軸が範囲の外最小は右端 x = 2
軸は必ず x = 1 より右。最大はいつでも左端 x = 0、最小は軸が範囲に入るかどうかで変わる

最大値 \(M(a)\) ― 場合分けは要らない

\[M(a)=f(0)=a\left(0-1-\frac{1}{a}\right)^{2}=a\cdot\frac{(a+1)^{2}}{a^{2}}\]

\[M(a)=\frac{(a+1)^{2}}{a}\]

最小値 \(m(a)\) ― 軸が範囲に入るかどうか

軸の位置\(a\) の範囲最小になる \(x\)\(m(a)\)
\(1+\dfrac{1}{a}\le 2\)(範囲の中)\(a\ge 1\)軸 \(x=1+\dfrac{1}{a}\)\(0\)
\(1+\dfrac{1}{a}>2\)(範囲の右外)\(0右端 \(x=2\)\(\dfrac{(a-1)^{2}}{a}\)

境目の条件は \(1+\dfrac{1}{a}\le 2\ \Longleftrightarrow\ \dfrac{1}{a}\le 1\ \Longleftrightarrow\ a\ge 1\)(\(a>0\) なので不等号の向きはそのまま)。

\(0

\[m(a)=f(2)=a\left(2-1-\frac{1}{a}\right)^{2}=a\left(1-\frac{1}{a}\right)^{2}=\frac{(a-1)^{2}}{a}\]

\[M(a)=\frac{(a+1)^{2}}{a},\qquad m(a)=\begin{cases}\dfrac{(a-1)^{2}}{a} & (0

(3) 逆数の和がでたら相加相乗

\(M(a)\) をばらします。ここで展開して割るのがコツ。

\[M(a)=\frac{(a+1)^{2}}{a}=\frac{a^{2}+2a+1}{a}=a+\frac{1}{a}+2\]

\(a>0\) なので、相加平均と相乗平均の関係から

\[a+\frac{1}{a}\ \ge\ 2\sqrt{a\cdot\frac{1}{a}}=2\]

\[\therefore\quad M(a)\ge 4\]

等号成立を書かないと、最小値とは言えません。 等号は \(a=\dfrac{1}{a}\) すなわち \(a^{2}=1\)、\(a>0\) より \(a=1\) のとき。 このとき確かに \(M(1)=4\) なので、最小値は \(4\) です。

\(M(a)\) の最小値は \(\ 4\ \)(\(a=1\) のとき)

つまずきポイント

  1. 最大・最小を、軸だけ/端だけで考える。 候補は軸と左端と右端の3つ。どれが効くかは軸の位置で決まります。
  2. 軸が \(1\) より右だと気づかない。 \(a>0\) から \(1+\dfrac{1}{a}>1\)。これが言えれば最大値の場合分けが丸ごと消えます。
  3. \(a\ge 1\) と \(0 \(a\) が大きいほど \(\dfrac{1}{a}\) は小さく、軸は左に寄る。大きい \(a\) ほど軸は範囲の中です。
  4. 相加相乗で等号成立を書かない。 「\(\ge 4\)」だけでは「4 になる \(a\) が本当にあるか」が示せていません。
  5. \(\dfrac{(a+1)^{2}}{a}\) を展開せずに相加相乗へ行こうとする。 割って \(a+\dfrac{1}{a}+2\) にして初めて、逆数の和の形が見えます。

要点まとめ

  1. 接する → 連立して判別式 \(D=0\)。
  2. 最大・最小ときたら、軸 or 範囲の左右。候補は3つだけ。
  3. 軸 \(=1+\dfrac{1}{a}>1\) だから、最大はいつでも左端 \(x=0\)。
  4. \(a+\dfrac{1}{a}\) は相加相乗。等号成立 \(a=1\) まで書いて最小値。
板書 【12】(1) 判別式/(2) 軸の位置と範囲の左右/(3) 相加相乗
板書 【12】(1) 判別式/(2) 軸の位置と範囲の左右/(3) 相加相乗
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