朝講習【1】aᵇ=bᵃ は log x/x で読む ― 1<a<e<b の証明

この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。

解説動画(音声つき)

\(a^{b}=b^{a}\) という式を見たら、やることは1つしかありません。 対数をとって \(\dfrac{\log a}{a}=\dfrac{\log b}{b}\) に直すこと。 そうすると、この問題は「\(y=\dfrac{\log x}{x}\) のグラフを水平線で切ったときの、2つの交点」の話に変わります。 グラフさえかければ、\(1読むだけです。

この回で扱う問題

正の実数 \(x\) に対して \(f(x)=\dfrac{\log x}{x}\) とする。 ただし \(\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{\log x}{x}=0\) であること、 また \(e\) は自然対数の底で \(e<3\) であることを用いてよい。

\(a,\ b\) を正の実数とし、\(a

(12) このとき \(a^{b}=b^{a}\) ならば \(1

方針 ― 「指数の等式」は対数で「関数の等式」に変える

\(a^{b}=b^{a}\) のままでは手が出ません。両辺は正なので、自然対数をとります。

\[\log a^{b}=\log b^{a}\qquad\Longrightarrow\qquad b\log a=a\log b\]

ここで \(a>0,\ b>0\) なので \(ab\) で割ると、左右がきれいに分かれます。

\[\frac{\log a}{a}=\frac{\log b}{b}\qquad\text{すなわち}\qquad f(a)=f(b)\]

つまり「\(y=f(x)\) のグラフ上で、高さが等しい2点」を探す問題になりました。 \(a\neq b\) なのだから、水平線 \(y=k\) がグラフと2回交わっている、ということです。

(1) の増減表をそのまま使う

\(f(x)=\dfrac{\log x}{x}\) を微分すると

\[f'(x)=\frac{\frac{1}{x}\cdot x-\log x}{x^{2}}=\frac{1-\log x}{x^{2}}\]

\(f'(x)=0\) となるのは \(\log x=1\)、つまり \(x=e\)。

\(x\)\((0)\)\(\cdots\)\(e\)\(\cdots\)
\(f'(x)\)\(+\)\(0\)\(-\)
\(f(x)\)↗極大 \(\dfrac{1}{e}\)↘

端の様子も押さえます。

\[\lim_{x\to +0}\frac{\log x}{x}=-\infty,\qquad \lim_{x\to\infty}\frac{\log x}{x}=0,\qquad f(1)=0\]

xy1/ey = kaeb1y = log x / x
y = log x / x のグラフ。水平線 y = k が 2 回交わるとき、交点は 1 と e をはさんで両側に出る

グラフから \(1

\(f(a)=f(b)=k\) とおきます。\(a\neq b\) なので、直線 \(y=k\) は曲線と異なる2点で交わります。

  • \(k\le 0\) のとき … \(x\le 1\) の部分でしか交わらず、その範囲で \(f\) は単調増加。交点は1つだけ。
  • \(k=\dfrac{1}{e}\) のとき … 頂点でぴったり接するので交点は1つだけ。
  • \(k>\dfrac{1}{e}\) のとき … 最大値を超えるので交点なし。

したがって、交点が2つになるのは \(0

このとき、増加している部分(\(1e\))に1つ、 交点がちょうど1つずつ現れます。\(a

\[1

なぜ「\(a>1\)」まで言えるのか

ここを飛ばすと減点されます。\(f(1)=0\) であり、\(00\) なので、交点の \(x\) 座標は必ず \(1\) より大きい。 「グラフを見ればわかる」ではなく、\(f(1)=0\) と \(k>0\) を根拠に書くこと。

この問題がつながる先

同じグラフ1枚で、講座の他の設問がまとめて片づきます。

設問使うところ
(2) 自然数 \(a\(1
(13) \(\sqrt{5}^{\sqrt{7}}\) と \(\sqrt{7}^{\sqrt{5}}\)\(\sqrt{5}<\sqrt{7}<2.7
(14) \(f(x)=k\) が2解いまの議論そのもの。\(0
(15) \(x^{a}=a^{x}\) が \(a\) より大きい解をもつ\(x=a\) が必ず解。もう1つあるのは \(1

つまずきポイント

  1. \(a^{b}=b^{a}\) を指数のまま変形しようとする。 両辺が正であることを言ってから対数をとる。これが唯一の入口です。
  2. \(\dfrac{\log a}{a}=\dfrac{\log b}{b}\) まで来て止まる。 この形は「同じ関数の値が等しい」と読む。関数を \(f\) と名前をつけた瞬間にグラフの問題になります。
  3. \(k\) の範囲を書かずにグラフだけで済ませる。 交点が2つになる条件 \(0
  4. \(x\to +0\) と \(x\to\infty\) の様子を書き忘れる。 端が \(-\infty\) と \(0\) だからこそ「増加側に1つ、減少側に1つ」と言い切れます。

要点まとめ

  1. \(a^{b}=b^{a}\) は、対数をとって \(\dfrac{\log a}{a}=\dfrac{\log b}{b}\) に直す。
  2. \(f(x)=\dfrac{\log x}{x}\) は \(x=e\) で最大値 \(\dfrac{1}{e}\)。端は \(-\infty\) と \(0\)。
  3. 水平線と2回交わる条件は \(0<\!k<\dfrac{1}{e}\)。交点は \(e\) をはさんで両側に1つずつ。
  4. \(a>1\) の根拠は \(f(1)=0\) と \(k>0\)。図に頼らず式で書く。
板書 【1】(12) 対数をとって、logx/x のグラフで読む
板書 【1】(12) 対数をとって、logx/x のグラフで読む

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