
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
円がどんどん小さくなりながら詰まっていく図。 一見むずかしそうですが、やることは直角三角形を1つ見つけて三平方の定理、それだけです。 そこから出てくる漸化式は、置きかえるとただの等差数列になります。
この回で扱う問題(信州大)
円 \(x^{2}+(y-1)^{2}=1\) を \(C\)、円 \((x-2)^{2}+(y-1)^{2}=1\) を \(C_{0}\) とする。 \(C\)、\(C_{0}\)、\(x\) 軸に接する円を \(C_{1}\) とする。 \(C\)、\(C_{1}\)、\(x\) 軸に接し \(C_{0}\) と異なる円を \(C_{2}\) とし、これを繰り返して \(C\)、\(C_{n}\)、\(x\) 軸に接し \(C_{n-1}\) と異なる円を \(C_{n+1}\) とする。 また、円 \(C_{n}\) の半径を \(a_{n}\) とする。
(1) \(a_{1}\) を求めよ。
(2) \(b_{n}=\dfrac{1}{\sqrt{a_{n}}}\) とするとき、数列 \(\{b_{n}\}\) の満たす漸化式を求めよ。
(3) 数列 \(\{a_{n}\}\) の一般項を求めよ。
方針 ― 漸化式は「具体 → 一般」で作る
漸化式を作れと言われたら、いきなり \(n\) で書こうとしないこと。
\(n=1\) と \(n=2\) の場合を実際に作ってみて、それを \(n=k\)、\(n=k+1\) に書き換えるだけ。
そして図形の条件の使い方は1つだけです。
2円が外接 → (中心間の距離)=(半径の和)
円が \(x\) 軸に接する → (中心の \(y\) 座標)=(半径)
この2つを、直角三角形の辺として三平方の定理に流し込みます。
(1) \(a_{1}\) を求める
円 \(C\) の中心を \(\mathrm{C}(0,1)\)、円 \(C_{1}\) の中心を \(\mathrm{C}_{1}\) とします。 \(C\) と \(C_{0}\) は直線 \(x=1\) について対称なので、\(\mathrm{C}_{1}\) は \(x=1\) 上にあり、 \(x\) 軸に接することから
\[\mathrm{C}_{1}(1,\ a_{1})\]
\(\mathrm{C}\) から \(\mathrm{C}_{1}\) の真下(\(y\) 軸に平行な線)に下ろした足を \(\mathrm{H}_{1}\) とすると、 直角三角形 \(\mathrm{CH_{1}C_{1}}\) の3辺は
| 辺 | 長さ | 理由 |
|---|---|---|
| 斜辺 \(\mathrm{CC_{1}}\) | \(1+a_{1}\) | 外接 → 半径の和 |
| 縦 \(\mathrm{CH_{1}}\) | \(1-a_{1}\) | 中心の高さの差 |
| 横 \(\mathrm{H_{1}C_{1}}\) | \(1\) | \(\mathrm{C}_{1}\) の \(x\) 座標 |
三平方の定理から
\[(1+a_{1})^{2}=(1-a_{1})^{2}+1^{2}\]
展開して整理すると \(4a_{1}=1\)。
\[a_{1}=\frac{1}{4}\]
(2) 漸化式をつくる ― 横幅を足す
(1) と同じ直角三角形を、\(C\) と \(C_{n}\) について作ります。斜辺 \(1+a_{n}\)、縦 \(1-a_{n}\) なので
\[\mathrm{C}_{n}\mathrm{H}_{n}=\sqrt{(1+a_{n})^{2}-(1-a_{n})^{2}}=\sqrt{4a_{n}}=2\sqrt{a_{n}}\]
ここが今日の計算のヤマです。\((1+a)^{2}-(1-a)^{2}\) は展開せずに 和と差の積 \(\{(1+a)+(1-a)\}\{(1+a)-(1-a)\}=2\cdot 2a\) と見るのが速い。 \(\sqrt{\ }\) の中が \(4a_{n}\) になるから、外に出て \(2\sqrt{a_{n}}\) です。
同じように \(C\) と \(C_{n+1}\) から \(2\sqrt{a_{n+1}}\)、 そして \(C_{n}\) と \(C_{n+1}\)(斜辺 \(a_{n}+a_{n+1}\)、縦 \(a_{n}-a_{n+1}\))から
\[\sqrt{(a_{n}+a_{n+1})^{2}-(a_{n}-a_{n+1})^{2}}=\sqrt{4a_{n}a_{n+1}}=2\sqrt{a_{n}a_{n+1}}\]
この3つの横幅が、図の上でぴったり足し算になっています。
\[2\sqrt{a_{n}}=2\sqrt{a_{n+1}}+2\sqrt{a_{n}a_{n+1}}\]
両辺を \(2\) で割り、さらに \(\sqrt{a_{n}a_{n+1}}\ (\neq 0)\) で割ると
\[\frac{1}{\sqrt{a_{n+1}}}=\frac{1}{\sqrt{a_{n}}}+1\]
\[b_{n+1}=b_{n}+1\]
\(\sqrt{\ }\) が邪魔に見えても、割るだけできれいに消えます。
(3) 一般項 ― ただの等差数列
\(b_{1}=\dfrac{1}{\sqrt{a_{1}}}=\dfrac{1}{\sqrt{1/4}}=2\)、公差 \(1\) の等差数列なので
\[b_{n}=2+(n-1)\cdot 1=n+1\]
\(b_{n}=\dfrac{1}{\sqrt{a_{n}}}\) より \(a_{n}=\dfrac{1}{b_{n}^{2}}\)。
\[a_{n}=\frac{1}{(n+1)^{2}}\]
検算:\(n=1\) で \(\dfrac{1}{4}\)。(1) と合っています。
つまずきポイント
- いきなり \(n\) で立式しようとする。 まず \(n=1\)、\(n=2\) を手で作る。図が具体的になれば、どの直角三角形を使うかが見えます。
- \(\sqrt{(1+a)^{2}-(1-a)^{2}}\) を展開して計算する。 和と差の積で見れば一瞬です。計算量の差がそのまま試験時間の差になります。
- \(\sqrt{\ }\) が出た時点で「置きかえ」を思いつけない。 \(\sqrt{a_{n}}\) ばかり出てくるなら \(\sqrt{a_{n}}\)(またはその逆数)を1文字と見る、が定石です。
- 横幅の足し算を図で確認しない。 \(\mathrm{C}_{n}\mathrm{H}_{n}=\mathrm{C}_{n+1}\mathrm{H}_{n+1}+\mathrm{C}_{n+1}\mathrm{J}_{n+1}\) という関係は図を描かないと出てこない関係です。
要点まとめ
- 漸化式は具体(n=1,2)→ 一般(n=k, k+1)の順で作る。
- 外接=中心間距離が半径の和、\(x\) 軸に接する=中心の高さが半径。
- 直角三角形を見つけて三平方の定理。横幅を足し合わせる。
- \(\sqrt{a_{n}}\) だらけの漸化式は、割るだけで等差数列になる。
