
この問題の考え方を短い動画にまとめました。動画は問題の提示から始まります。 流れをつかんでから、下の解説を読んでください。
この回は、三角形の辺と角の関係を道具として使い分ける練習です。 比で与えられたら正弦定理、3辺がわかれば余弦定理、 面積は\(\frac{1}{2}bc\sin A\)。そして内接円の半径や角の二等分線の長さは、 三角形を分けて面積を足すことで求めます。
この回で扱う問題
1 \(\triangle ABC\) において,\(\sin A:\sin B:\sin C=5:8:7\) のとき,次のものを求めよ。
(1) \(a:b:c\) (2) \(\triangle ABC\) の内角のうち,2番目に大きい角の大きさ
3 \(\triangle ABC\) において,\(\mathrm{AB}=x-1,\ \mathrm{AC}=x,\ \mathrm{BC}=x+1\) のとき
(1) \(x\) のとり得る値の範囲を求めよ。 (2) \(\triangle ABC\) が鈍角三角形となる \(x\) の値の範囲を求めよ。
4 次のような \(\triangle ABC\) の面積を求めよ。
(1) \(a=6,\ b=5,\ C=30^\circ\) (2) \(a=\sqrt{2},\ c=\sqrt{3}-1,\ A=30^\circ,\ C=15^\circ\) (3) \(a=3,\ b=6,\ c=7\)
5 \(a=4,\ b=5,\ c=6\) の \(\triangle ABC\) に内接する円の半径 \(r\) を求めよ。
6 \(\triangle ABC\) において,\(\angle A\) の二等分線と辺 BC の交点を D とするとき,線分 AD の長さを求めよ。
(1) \(\mathrm{AB}=4,\ \mathrm{AC}=3,\ A=120^\circ\) (2) \(\mathrm{AB}=10,\ \mathrm{AC}=15,\ A=60^\circ\)
方針 ― どの道具を使うか
\(\sin\) の比・外接円 → 正弦定理
\[\frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C}=2R\]
3辺、または2辺とその間の角 → 余弦定理
\[c^{2}=a^{2}+b^{2}-2ab\cos C\]
2辺とその間の角 → 面積
\[S=\frac{1}{2}ab\sin C\]
内接円・角の二等分線 → 三角形を分けて、面積を足す
1 \(\sin\) の比は、辺の比
(1) \(a:b:c\)
正弦定理より \(\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}=2R\)。書き直すと
\[\sin A=\frac{a}{2R},\quad \sin B=\frac{b}{2R},\quad \sin C=\frac{c}{2R}\]
これを \(\sin A:\sin B:\sin C=5:8:7\) に入れると、\(\dfrac{a}{2R}:\dfrac{b}{2R}:\dfrac{c}{2R}=5:8:7\)。どれも \(2R\) で割っているだけなので
\[a:b:c=5:8:7\]
(2) 2番目に大きい角
大きい辺の向かいに大きい角があります。辺は \(b\) が最大、次が \(c\)。だから2番目に大きい角は \(C\) です。
\(a=5k,\ b=8k,\ c=7k\ (k\gt 0)\) とおいて、余弦定理を使います。
\[\cos C=\frac{a^{2}+b^{2}-c^{2}}{2ab}\]
\[=\frac{25k^{2}+64k^{2}-49k^{2}}{2\cdot 5k\cdot 8k}=\frac{40k^{2}}{80k^{2}}=\frac{1}{2}\]
\(0^\circ\lt C\lt 180^\circ\) より
\[C=60^\circ\]
\(k\) はすべて約分で消えます。比しかわからなくても、角の大きさは決まります。
3 三角形ができる条件、鈍角になる条件
(1) \(x\) のとり得る値の範囲
「\(\triangle ABC\) が存在するかどうか」を問われています。辺の長さは正なので \(x-1\gt 0\)。 さらに、最も大きい辺は残り2辺の和より小さい。最も大きい辺は BC なので
\[\mathrm{BC}\lt \mathrm{AB}+\mathrm{AC}\]
\[x+1\lt (x-1)+x\]
\[x\gt 2\]
(\(x\gt 2\) なら \(x-1\gt 0\) も満たしています。)
(2) 鈍角三角形となる範囲
最も大きい辺を \(c\) とすると、余弦定理から次の3つの場合に分かれます。
| \(c^{2}=a^{2}+b^{2}\) | 直角三角形 |
| \(c^{2}\lt a^{2}+b^{2}\) | 鋭角三角形 |
| \(c^{2}\gt a^{2}+b^{2}\) | 鈍角三角形 |
最も大きい辺は BC なので、\(\mathrm{BC}^{2}\gt \mathrm{AB}^{2}+\mathrm{AC}^{2}\)。
\[(x+1)^{2}\gt (x-1)^{2}+x^{2}\]
\[x^{2}-4x\lt 0\quad\Longrightarrow\quad 0\lt x\lt 4\]
(1) の \(x\gt 2\) と合わせて
\[2\lt x\lt 4\]
(1) の条件を忘れない。\(0\lt x\lt 4\) だけでは、そもそも三角形ができない \(x\) まで入ってしまいます。
4 三角形の面積
面積の公式は「2辺とその間の角」。\(S=\dfrac{1}{2}ab\sin C=\dfrac{1}{2}bc\sin A=\dfrac{1}{2}ca\sin B\)。
(1) \(a=6,\ b=5,\ C=30^\circ\)
\(a\) と \(b\) の間の角が \(C\) なので、そのまま使えます。
\[S=\frac{1}{2}\cdot 6\cdot 5\cdot\sin 30^\circ=\frac{1}{2}\cdot 30\cdot\frac{1}{2}=\frac{15}{2}\]
(2) \(a=\sqrt{2},\ c=\sqrt{3}-1,\ A=30^\circ,\ C=15^\circ\)
わかっている2辺は \(a\) と \(c\)。その間の角は \(B\) です。まず \(B\) を出します。
\[B=180^\circ-30^\circ-15^\circ=135^\circ\]
\[S=\frac{1}{2}ca\sin B\]
\[=\frac{1}{2}\cdot(\sqrt{3}-1)\cdot\sqrt{2}\cdot\sin 135^\circ\]
\[=\frac{1}{2}\cdot(\sqrt{3}-1)\cdot\sqrt{2}\cdot\frac{\sqrt{2}}{2}\]
\[=\frac{\sqrt{3}-1}{2}\]
(3) \(a=3,\ b=6,\ c=7\)
角が1つもわかりません。余弦定理で \(\cos\) を出し、\(\sin\) に直してから面積の公式へ。
\[\cos A=\frac{b^{2}+c^{2}-a^{2}}{2bc}\]
\[=\frac{36+49-9}{2\cdot 6\cdot 7}=\frac{76}{84}=\frac{19}{21}\]
\(\sin A\gt 0\) なので
\[\sin A=\sqrt{1-\left(\frac{19}{21}\right)^{2}}=\sqrt{\frac{80}{441}}=\frac{4\sqrt{5}}{21}\]
\[S=\frac{1}{2}bc\sin A=\frac{1}{2}\cdot 6\cdot 7\cdot\frac{4\sqrt{5}}{21}=4\sqrt{5}\]
\(\sin\) は2乗して1から引く。\(1-\frac{361}{441}=\frac{80}{441}\)、\(\sqrt{80}=4\sqrt{5}\)。ここで約分を急ぐと計算がくずれます。
5 内接円の半径は、三角形を3つに分ける
まず面積を出します。4 (3) と同じ流れで、余弦定理 → \(\sin\) → 面積。
\[\cos A=\frac{5^{2}+6^{2}-4^{2}}{2\cdot 5\cdot 6}=\frac{45}{60}=\frac{3}{4}\]
\[\sin A=\sqrt{1-\left(\frac{3}{4}\right)^{2}}=\frac{\sqrt{7}}{4}\]
\[\triangle ABC=\frac{1}{2}\cdot 5\cdot 6\cdot\frac{\sqrt{7}}{4}=\frac{15\sqrt{7}}{4}\]
内心 I と頂点を結ぶと、\(\triangle ABC\) は3つの三角形に分かれます。どれも高さは \(r\)。底辺はそれぞれ \(a,\ b,\ c\) です。
\[\triangle ABC=\frac{1}{2}ar+\frac{1}{2}br+\frac{1}{2}cr\]
\[=\frac{1}{2}r(a+b+c)=\frac{1}{2}r(4+5+6)=\frac{15}{2}r\]
\[\frac{15}{2}r=\frac{15\sqrt{7}}{4}\]
\[r=\frac{\sqrt{7}}{2}\]
6 角の二等分線の長さも、面積を足す
(1) \(\mathrm{AB}=4,\ \mathrm{AC}=3,\ A=120^\circ\)
まず全体の面積。
\[\triangle ABC=\frac{1}{2}\cdot 4\cdot 3\cdot\sin 120^\circ\]
\[=\frac{1}{2}\cdot 12\cdot\frac{\sqrt{3}}{2}=3\sqrt{3}\]
AD は \(\angle A\) を半分にするので、\(\angle BAD=\angle CAD=60^\circ\)。2つの三角形の面積を、AD を使って書きます。
\[\triangle ABD+\triangle ACD\]
\[=\frac{1}{2}\cdot 4\cdot\mathrm{AD}\cdot\sin 60^\circ+\frac{1}{2}\cdot 3\cdot\mathrm{AD}\cdot\sin 60^\circ\]
\[=\frac{1}{2}\mathrm{AD}\cdot\frac{\sqrt{3}}{2}\cdot(4+3)=\frac{7\sqrt{3}}{4}\mathrm{AD}\]
これが全体の \(3\sqrt{3}\) に等しいので
\[\frac{7\sqrt{3}}{4}\mathrm{AD}=3\sqrt{3}\quad\Longrightarrow\quad \mathrm{AD}=\frac{12}{7}\]
(2) \(\mathrm{AB}=10,\ \mathrm{AC}=15,\ A=60^\circ\)
同じ流れです。今度は半分の角が \(30^\circ\)。
\[\triangle ABC=\frac{1}{2}\cdot 10\cdot 15\cdot\sin 60^\circ=\frac{75\sqrt{3}}{2}\]
\[\triangle ABD+\triangle ACD\]
\[=\frac{1}{2}\cdot 10\cdot\mathrm{AD}\cdot\frac{1}{2}+\frac{1}{2}\cdot 15\cdot\mathrm{AD}\cdot\frac{1}{2}\]
\[=\frac{25}{4}\mathrm{AD}\]
\[\frac{25}{4}\mathrm{AD}=\frac{75\sqrt{3}}{2}\quad\Longrightarrow\quad \mathrm{AD}=6\sqrt{3}\]
つまずきポイント
- 2番目に大きい角を、比の真ん中の「8」で選んでしまう。 比は \(5:8:7\)。大きい順は \(b,\ c,\ a\) なので、2番目は \(C\) です。
- 鈍角三角形の条件だけで終わる。 三角形ができる条件 \(x\gt 2\) と合わせて、はじめて答えになります。
- 面積の公式で「間の角」を取り違える。 4 (2) は \(a\) と \(c\) が与えられているので、使う角は \(B\)。先に \(B=135^\circ\) を出します。
- \(\sin 135^\circ\) や \(\sin 120^\circ\) を負にしてしまう。 \(0^\circ\) から \(180^\circ\) の間では \(\sin\) はいつも正です。
- 内接円や二等分線で、いきなり長さを求めようとする。 「分けた三角形の面積の和=全体の面積」の式を作るのが入口です。
要点まとめ
- \(\sin\) の比は辺の比(正弦定理)。大きい辺の向かいに大きい角。
- 三角形ができる条件は「最大の辺 < 残り2辺の和」。鈍角は「最大の辺\(^{2}\) > 残り2辺の2乗の和」。
- 面積は2辺とその間の角。角がなければ余弦定理 → \(\sin\) へ。
- 内接円の半径・角の二等分線の長さは、三角形を分けて面積を足す。
